【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』レコード評原稿・再掲載【連載第3回・スティーヴィー・ワンダー】

写真提供:イザワオフィス

「【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』レコード評原稿・再掲載」は、かつて弊社が刊行した音楽&カルチャー雑誌『jam』に掲載された、志村けんさんがお書きになった原稿を再掲載するというもの。連載として5月1日の第1回に続き、第2回のマイケル・ジャクソン&ザ・ジャクソンズもおかげさまで大好評! 短いからこそ知見が問われ、そこに自らのキャラクターまでをも練り込むのはなかなかのもの。巷間に溢れるカスタマーレヴューとは一味違うクオリティ、実際に作品を聴きながら、読んでお確かめください。

2020.05.01
【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』レコード評原稿・再掲載、連載開始【第1回・プリンス】
2020.05.15
【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』レコード評原稿・再掲載、連載開始【第2回・マイケル・ジャクソン&ジャクソンズ】

そして本日は第3回ということで予告通りスティーヴィー・ワンダー作品に関する原稿ですが、次回からは原稿のリクエストの結果を受けて原稿をピックアップしていきます。しかしリクエストの締め切りはこの週末、5/31(日)23:59まで。まだの方はお急ぎを! 詳しくは4月27日MLCニュースをご覧ください。

【音楽雑誌『jam』】
『jam』は、1978〜1981年に弊社が刊行した音楽を中心としたカルチャー雑誌。『ミュージック・ライフ』『ロック・ショウ』と編集長を歴任した水上はる子氏が立ち上げ、ティーンを主な対象読者としたそれら2誌に対し、もう一段階上の年齢層、言わば “その2誌を卒業した読者” に向けたものでした。

【『jam』1981年1月号】
今回の原稿が掲載されたのは『jam』1981年1月号(この号の編集長は草野功氏)、表紙は『ダブル・ファンタジー』の発売に合わせてのジョン・レノン。そして本誌はこの号が最後となって、以後休刊となっています。そこでまさかのジョン・レノン殺害事件(現地12月8日午後5時。日本時間9日午前6時)──しかし本号発売日は9日……。店頭に並んだその当日にニュースで事件が報じられるという悲劇。せめて次の号があれば、追悼号として彼の死を悼むことができたのに……。編集部の無念さは如何ほどのものだったでしょうか(蛇足ながらジョンの死後約2週間でML臨時増刊による「追悼号」が発売されています)。短命でしたが、非常に濃密な雑誌でした。表紙/目次でこの雑誌や当時の雰囲気に思いを馳せながら、志村さんの原稿もお読みください(タップ/クリックで拡大できます)。

『jam』1981年1月号
同号目次

◾️同号アルバム評ページ、その他の掲載作品(※掲載順、太字は志村けんさん執筆分)
ジョン・レノン『ダブル・ファンタジー』、ジ・アトラクションズ『悪の誘惑』、デイヴ・デイヴィス『APL1-3603』、ルパート・ホルムズ『アドヴェンチャー』、ロッド・スチュワート『パンドラの匣』、スプリット・エンズ『トゥルー・カラーズ』、トーヤ『ブルー・ミーニングス』、ケニー・ロギンズ『アライヴ』、ウェザー・リポート『ナイト・パッセージ』、スージー・クアトロ『ロック・ハード』、ブロンディ『オートアメリカン』、ジョー・ジャクソン・バンド『ビート・クレイジー』、レイ、グッドマン&ブラウン『マイ・プレイヤー』、岡林信康『ストーム』、ブラックベアード(デニス・ボヴェール)『アイ・ワー・ダブ』、ドナ・サマー『ワンダラー』、キャプテン・ビーフハート『美は乱調にあり』、T・レックス『メタル・グルー』、イアン・ゴム『ホワット・ア・ブロウ』、マッドネス『独裁宣言』、ニール・ダイヤモンド『ジャズ・シンガー(サントラ盤)』、ヘイゼル・オコーナー『ブレイキング・グラス』、スティービー・ワンダー『ホッター・ザン・ジュライ』、エレン・シップリー『ハート・ビートNY』、エニー・トラブル『いかしたあの娘は』、イーグルス『イーグルス・ライヴ』

◾️執筆陣(掲載順)
近田春夫、かまやつひろし、志村けん、ピーター・バラカン、池上比沙之、湯川れい子、江口寿史、仲邨杳一、木崎義二、伊藤勝男

【プロフィール】志村けん(しむらけん)

東京都東村山市出身のコメディアン。1950年2月20日生まれ、A型。荒井 注脱退に伴いザ・ドリフターズに加入、間も無く『8時だヨ!全員集合』で「東村山音頭」「ヒゲダンス」などでお茶の間の人気は絶頂に。その後も「バカ殿様」「変なおじさん」といったキャラクターを生み出した。テレビでは『天才!志村どうぶつ園』にレギュラー出演していたが、2020年3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎で他界された。享年70。

音楽、特にブラック・ミュージック、ディスコ・ミュージック好きとして当時から広く知られていたことから、弊社『jam』でアルバム評を執筆することに。「ヒゲダンス」のトラックはテディ・ペンダーグラス、「ドリフの早口言葉」はシュガーヒル・ギャング+ウィルソン・ピケットで、いずれも自身によるセレクトであるというエピソードが知られている。また中学時代は熱烈なビートルズ・ファンで、1966年の武道館公演を見に行った逸話を披露したりもしていた。

【追悼企画】志村けんがライターとして執筆した、80年代ブラック・ミュージックのアルバム解説原稿再掲載

【第3回・スティービー・ワンダー『ホッター・ザン・ジュライ』】

Stevie Wonder / Hotter Than July


US:Stevie Wonder / Hotter Than July 1980年9月29日発売
(Tamla/T8-373M1)
日本:スティービー・ワンダー『ホッター・ザン・ジュライ』
1980年9月29日発売
(モータウン/ビクター音楽産業/VIP-6748)

 

Side A
1. Did I Hear You Say You Love Me/愛と嘘(4:07)
2. All I Do/キャンドルにともした恋(5:06)
3. Rocket Love/ロケット・ラブ(4:40)
4. I Ain't Gonna Stand For It/疑惑(4:39)
5. As If You Read My Mind/目を閉じれば愛(3:37)

Side B
1. Master Blaster (Jammin')/マスター・ブラスター(ジャミン)(5:07)
2. Do Like You/孤独のダンサー(4:26)
3. Cash In Your Face/哀しい絆(4:01)
4. Lately/レイトリー(4:04)
5. Happy Birthday/ハッピー・バースデイ(5:57)


感動にむせかえっている


 

スティービー・ワンダー『ホッター・ザン・ジュライ』 モータウン(VIP-6748)

彼の久々のアルバムを聴いて感動にむせかえっている状態だ。レゲエを思わせる熱っぽいパーカション、ボディパンチのようなバスドラとベースのリズムが彼のヴォーカルにのっかって無駄のないサウンドを創り上げている。A面では愛をテーマに歌い上げているのだが、それはスティービーのヒューマンな部分をモロに伝えてくれる。さらに曲のつなぎがメドレー式になっており、4曲目から5曲目に入る瞬間が最高にごきげんなサウンドだ。とにかく最初のひとつの音が聴こえてきただけで、ウム、これはいけるという曲ばかりである、もしもどの曲がいいかとなると僕は判断に困って少ない頭髪を掻きむしるだけだろう。愛や生活の歌をこういうリズムで歌えることに僕は羨しさを感じると同時に、彼の感受性と音楽的才能の豊かさに感嘆するだけである。

(志村けん)

註1:当時のアーティスト名表記はスティー“ビ”ー・ワンダーだったため、本稿においても当時の記載についてはそれに準じています。現在は発売元のユニバーサルミュージックでスティー“ヴィ”ー・ワンダーと統一されているため、再掲載以外の部分では現在の表記にしました。
註2:文中の「パーカション」は原文ママです。

Producer, Arranged By, Music By, Lyrics By – Stevie Wonder
Programmed By [Synthesizer Programming] – Bill Wolfer
Sound Designer [Computer Music Melodian] – Harry Mendell

Technician [Assistance] – Charlie Brewer
Technician [Equipment] – Lou Hyland, Mick Parish
Recorded By – Record Plant Mobile, Los Angeles
Recorded At – Wonderland Studios, Los Angeles / I.A.M. Studios, Irvine / Crystal Sound
Engineer [Assistant] – Bob Harlan, Jimmy "Rock & Roll" Sandweiss, Lon Newmann, Peter Vargo
Engineer, Mixed By – Gary Olazabal
Mixed At – Wonderland Studios, Los Angeles
Mastered By – Arnie Acosta, Jeff Sanders, Larry Emerine, Stephen Marcussen
Mastered At – Crystal Sound
Produced For – Taurus Productions
Lacquer Cut By – A*, L*, S*
Lacquer Cut At – Precision Lacquer

Design [Innersleeve Design] – John Cabalka
Project Manager – Brenda M. Boyce

【プロフィール】スティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder)

1950年5月13日ミシガン州サギノウで誕生。本名スティーヴランド・モリス・ジャドキンズ。保育器内の過量酸素が原因で、生まれてすぐに視力を失う。1961年モータウン社長ベリー・ゴーディの前で初めて歌と演奏を披露し、その場で契約。1963年5月『フィンガーティップス』でアルバム・デビュー、翌月同名のシングルで全米制覇。その後もシングル/アルバムでヒットを続け、1970年にモータウンの元秘書で作詞家・歌手のシリータ・ライトと結婚(72年に離婚)。1974年、アルバム『インナーヴィジョンズ』でグラミー賞5部門受賞。

1980年、アルバム『ホッター・ザン・ジュライ』をリリース。シングル「マスター・ブラスター」も大ヒット。1996年、アトランタ・オリンピック閉会式で「ハッピー・バースデイ」を披露。2005年、最新アルバム『タイム・トゥ・ラヴ』発売。日本公演は、1968年を皮切りにこれまで13回。

 

ユニバーサル・ミュージック・ジャパン公式ページプロフィールより再構成


関連ニュース・ミュージック・ライフ写真館
2020.05.29
【ミュージック・ライフ写真館】スティーヴィー・ワンダー、60年代リトル・スティーヴィー時代〜70〜80年代来日時写真【ML Imagesライブラリー】

なお、同時に公開した不定期連載「ミュージック・ライフ写真館・第3回」では、デビュー間もない“リトル” スティーヴィー・ワンダー時代のプロモーション用の写真から、1968年のマーサ&ザ・ヴァンデラスとの初来日、さらに1975年の2度目の来日時の写真などを中心に掲載しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

さて次回からは、いよいよ皆様からのリクエストの結果を受けての原稿再掲載。どのアーティスト/作品になるかは、まだ我々にもわかりません。リクエストの締め切りは5/31(日)23:59まで。4月27日MLCニュースをご覧になって、「ではこれを!」というものがございましたらぜひお教えいただければ!

この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

ピアノ・ソロ&弾き語りセレクション スティーヴィー・ワンダー

ピアノ・ソロ&弾き語りセレクション スティーヴィー・ワンダー

2,530円
ハイ・グレード・ピアノ・ソロ スティーヴィー・ワンダー[改訂版]

ハイ・グレード・ピアノ・ソロ スティーヴィー・ワンダー[改訂版]

2,640円

ディスク・コレクション グルーヴィ・ソウル

1,980円
THE DIG Presents モータウン・サウンド

THE DIG Presents モータウン・サウンド

1,650円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ