【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』
 第2回・マイケル・ジャクソン&ジャクソンズ

写真提供:イザワオフィス

5月1日の第1回・プリンス『愛のペガサス』からスタートしたこの「【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』レコード評原稿・再掲載」は、おかげさまで大好評! 原稿のリクエストも続々といただいており、公開後さらに増加しているほど。引き続きお読みになりたい原稿のリクエストを募集しておりますので、詳しくは4月27日MLCニュースをご覧ください。締め切りは5/31(日)23:59まで。どしどしご応募お待ちしております。

【音楽雑誌『jam』】
『jam』は、1978〜1981年に弊社が刊行した音楽を中心としたカルチャー雑誌。『ミュージック・ライフ』『ロック・ショウ』と編集長を歴任した水上はる子氏が立ち上げ、ティーンを主な対象読者としたそれら2誌に対し、もう一段階上の年齢層、言わば “その2誌を卒業した読者” に向けたものでした。

【『jam』1980年12月号】
今回の原稿が掲載されたのは『jam』1980年12月号(当時の編集長は高橋まゆみ氏)、表紙はボズ・スキャッグス。アルバム『ミドルマン』が大ヒットしてる無敵の時代でした。何より目を引くのは、片岡義男氏のお名前。写真に添えてエッセイを掲載しています(弊社から名著『ぼくはプレスリーが大好き』〈1971年〉を改題した『音楽風景』〈1991年〉を出版されています)。この他、表紙/目次でこの雑誌や当時の雰囲気に思いを馳せながら、志村さんの原稿もお読みください(タップ/クリックで拡大できます)。

『jam』1980年12月号
同号目次

◾️同号アルバム評ページ、その他の掲載作品(※掲載順、太字は志村けんさん執筆分)
アース・ウィンド&ファイアー『フェイセス』、スペシャルズ『モア・スペシャルズ』、スティーヴ・フォーバート『リトル・スティーヴ・フォーバート』、ドクター・フィールグッド『ザ・シェイクス(パーフェクト・フォー・パーティ)』、クラーク・カント『ミステリアス・デビュー』、マイケル・ジャクソン&ジャクソンズ 『トライアンフ』、ララージ『発光』、トーキング・ヘッズ『リメイン・イン・ライト』、テリー・デサリオ『溺愛』、Various Artists『モンキー・ビジネス』(トロージャン・コンピレーション)、サンダー『サンダー』、アラン・パーソンズ・プロジェクト『運命の切り札』、リップス・インク『パッカー・アップ』、ダイアー・ストレイツ『メイキング・ムーヴィーズ』、シーナ&ザ・ロケッツ『チャンネル・グー』、オージェイズ『たそがれのバラード』、ジョニ・ミッチェル『シャドウズ・アンド・ライト』、ブルース・スプリングスティーン『ザ・リヴァー』、ザ・ポリス『ゼニヤッタ・モンダッタ』、スタイリスティックス『愛よいそげ』、スティーヴン・ビショップ『哀愁マンハッタン』、浜田省吾『ホームバウンド』、ボブ・ウェルチ『マン・オーヴァーボード』、ダニー・ハサウェイ『イン・パフォーマンス』、ニール・ヤング『タカ派とハト派』、カンサス『オーディオ・ヴィジョン』

◾️執筆陣(掲載順)
近田春夫、かまやつひろし、志村けん、ピーター・バラカン、福田一郎、湯川れい子、江口寿史、仲邨杳一、木崎義二、伊藤勝男

【プロフィール】志村けん(しむらけん)

東京都東村山市出身のコメディアン。1950年2月20日生まれ、A型。荒井 注脱退に伴いザ・ドリフターズに加入、間も無く『8時だヨ!全員集合』で「東村山音頭」「ヒゲダンス」などでお茶の間の人気は絶頂に。その後も「バカ殿様」「変なおじさん」といったキャラクターを生み出した。テレビでは『天才!志村どうぶつ園』にレギュラー出演していたが、2020年3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎で他界された。享年70。

音楽、特にブラック・ミュージック、ディスコ・ミュージック好きとして当時から広く知られていたことから、弊社『jam』でアルバム評を執筆することに。「ヒゲダンス」のトラックはテディ・ペンダーグラス、「ドリフの早口言葉」はシュガーヒル・ギャング+ウィルソン・ピケットで、いずれも自身によるセレクトであるというエピソードが知られている。また中学時代は熱烈なビートルズ・ファンで、1966年の武道館公演を見に行った逸話を披露したりもしていた。

【追悼企画】志村けんがライターとして執筆した、80年代ブラック・ミュージックのアルバム解説原稿再掲載

【第2回・マイケル・ジャクソン&ジャクソンズ 『トライアンフ』】

The Jacksons / Triumph

US:The Jacksons / Triumph 1980年10月18日発売
(Epic/FE 36424)
日本:マイケル・ジャクソン&ザ・ジャクソンズ『トライアンフ』 1980年10月発売
(エピック・ソニー/25・3P-239)

Side A
1. キャン・ユー・フィール・イット/Can You Feel It(5:59)
2. マイ・ラヴリー・ワン/Lovely One(4:51)
3. ユア・ウェイズ/Your Ways(4:31)
4. エヴリバディ/Everybody(5:01)

Side B
1. ハートブレイク・ホテル/This Place Hotel(5:44)
2. タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン(時は誰も待たない)/Time Waits for No One(3:24)
3. ウォーク・ライト・ナウ/Walk Right Now(6:28)
4. ギヴ・イット・アップ/Give It Up(4:19)
5. ワンダリング・フー/Wondering Who(4:18)


低音を内臓に叩きつけると下痢が治る!?



マイケル・ジャクソン&ジャクソンズ『トライアンフ』 EPIC(25・3P-239)

ミュージシャンの世界においてこのジャクソンと名まえのつく奴は凄い奴らばかりだ。前進!!前進!!また前進という感じで自分たちの音創りにフレッシュなパワーをいつも備えている。ともするとめいりがちなこれからの季節を逆光の如くストレートにはねかえしてくれるLPだ。まさに聴いてよしダンシングよしだ。ヴォリュームをパワー・アップしてベース・サウンドを内臓に叩きつけると下痢が治るのではないだろうか。リズムと音の遊びが凝結していて彼らのサウンドの結晶体を創っているような気がする。「ハートブレイク・ホテル」はアレンジにおいても最高のできであるし、一曲だけあるバラードが彼のソフトなヴォイスに よってこのLPをきわだたせている。ディスコへ行けばどこかで耳にするLPだ。

(志村けん)

註1:作品のアーティスト名義は「ザ・ジャクソンズ」のみですが、当時国内盤では「マイケル・ジャクソン&ザ・ジャクソンズ」名義でリリースされていました。
註2:原文には誤字が一箇所と、曲名の表記間違いがありますが、今回はそれらを修正した上で原稿を再掲載しました。

商品情報
The Jacksons
『Triumph』

CD(2016/8/3
)¥1,637
Art Direction [Visual Coordination] – Lane/Donald
Artwork [Peacock Painting] – Gilbert Williams
Design [Cover And Logo] – John Kehe
Photography By – Francesco Scavullo

Producer [Associate], Keyboards – Greg Phillinganes
Producer, Written-By – The Jacksons
Recorded By [Additional] – Rik Pekkonen
Engineer [Assistant] – Ross Palone
Engineer, Mixed By – Tom Perry
Mastered By – Mike Reese

Coordinator [Production] – Lana Parks, Marylata Kastner
Management – Joe Jackson Productions, Inc., Weisner/DeMann Entertainment Inc.

Recorded at Hollywood Sound, Davien Sound, Sound City, Devonshire Sound, Westlake Audio and Capitol.

【プロフィール】ザ・ジャクソンズ (The Jacksons)

1969年、マイケル・ジャクソンを中心とした兄弟グループ、ジャクソン5としてデビュー。上からジャッキー、ティト、ジャーメイン、マーロン、マイケルの男子のみ5人。インディでのリリースを経て、モータウンからのメジャー・デビュー・シングル「帰ってほしいの」がいきなり大ヒットを記録し、以後もヒットを連発した。しかし70年代に入るとセールスは低迷し始め、1975年にCBSへ移籍。ただしこの際にジャーメインはモータウンへと残ることとなり、グループを脱退する。

移籍にあたっては訴訟にも発展、「ジャクソン5」は商標としてモータウンが保有していたため、グループは名を改めザ・ジャクソンズと名乗ることになった。またジャーメインの脱退を埋める形で、末弟ランディが加入。アルバム『トライアンフ』は1980年リリースの、改名後4作めに当たる作品。その後1984年にはジャーメインが復帰しての6人編成となったものの、同年発表のアルバム『ヴィクトリー』とそのツアーののちにマイケルが脱退。1989年にはマイケルとマーロンを除くメンバーが集まってアルバム『2300・ジャクソン・ストリート』をリリースするが、グループとしてはこれが最後のアルバムとなった。

メンバーそれぞれソロ・キャリアがあるものの、成功を収めたと言えるのはマイケルとジャーメインのみ。この他リビー、ラトーヤ、ジャネットの3人の姉妹がいるが、彼女らもそれぞれアーティストとして活動している(リビーとラトーヤはすでに引退)。

関連ニュース・2020.05.15

【ミュージック・ライフ写真館】1973年4月、ジャクソン5唯一の来日! マイケルはもちろん、全員取材での貴重な撮影【ML Imagesライブラリー】

なお、同時に公開した不定期連載「ミュージック・ライフ写真館・第2回」では、1973年4〜5月のジャクソン5として唯一の来日時の写真を中心に、ジャクソンズ として本作リリース時のツアーにおける写真やメンバーのサインも掲載しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

次回は5月29日(金)掲載予定、スティーヴィー・ワンダーの『ホッター・ザン・ジュライ』です。お楽しみに。また、お読みになりたい原稿のリクエストは引き続き募集中です。5月31日(日)23:59締め切り、詳しくは4月27日MLCニュースをご覧ください。

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第1回・プリンス『愛のペガサス』は、こちらから。

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