リヴァプールの“ペニー・レイン”、改名の危機？

ビートルズ1967年の楽曲「ペニー・レイン（Penny Lane）」で有名になったリヴァプールの “ペニー・レイン（ペニー通り）” は、18世紀の奴隷商人ジェイムス・ペニー（James Penny）の名に因んで命名されたと多くの人々が信じているようで、人種差別抗議運動がイギリスで広がっていた先週、この通りにある標識の “PENNY” の部分が黒いスプレーで消され、後ろの壁には “RACIST（人種差別主義者）” の落書きが見つかりました。
 
リヴァプールの国際奴隷博物館は、“ペニー・レイン” がジェイムス・ペニーの名に因んで命名されたのかどうか定かではないとし、「今後も名前の由来を明確にするための調査を続け、街路名の表示を見直した上で、必要であれば改名する」と、ツイッターで声明を発表しています。
 
また、リヴァプールでツアー・ガイドをしている女性は、「私たちが調べた結果、ジェイムス・ペニーは奴隷商人でしたが、ペニー・レインのエリアとは無関係でした」と語り、落書きの消去に協力した地元住民は、「落書きは馬鹿げた行為です。ペニー・レインの標識に落書きをしても何かが大きく変わる訳ではありませんし、何かを消し去りたいのなら、それなりの方法と手段があるはずです」と語りました。
 
ペニー・レインにあるいくつかの標識には、以前から多くの落書きがあり、その多くはビートルズに関連したもので、中にはポール・マッカートニーのサインが入った標識もあります。
 
今回の落書きに不快感を示したリヴァプールのジョー・アンダーソン市長は、「落書きをしても、リヴァプールでの “Black Lives Matter” を巡る議論と論争が進展する訳ではありません。標識や通りの名前が問題なのではなく、リヴァプールにおける不利な立場と不平等の原因となっている根本的な事柄を我々がどう変えていくかが問題なのです」と述べています。