ジェリー＆ザ・ペースメイカーズのジェリー・マースデンが78歳で死去

60年代前半に活躍した英ロック・バンド、ジェリー＆ザ・ペースメイカーズ（Gerry and the Pacemakers）のフロントマンでシンガー／ソングライターのジェリー・マースデン（Gerry Marsden）が1月3日、心臓内に生じた血液感染症により78歳で死去しました。

1942年にリヴァプールで生まれたジェリー・マースデンは、1959年に兄のフレディ・マースデンらとジェリー＆ザ・ペースメイカーズを結成。1963年に発表したデビュー・シングル「How Do You Do It?」（邦題「恋のテクニック」）を含め、同年の「I Like It」と「You’ll Never Walk Alone」が3曲連続でUKチャートの第1位を獲得し、「You’ll Never Walk Alone」は、地元のサッカー・クラブ「リヴァプールFC」の公式アンセムになりました。

Gerry & The Pacemakers
You'll Never Walk Alone
[Official Video]

彼らのマネージャーは、ビートルズを手掛けていたブライアン・エプスタインで、プロデューサーもビートルズで知られるジョージ・マーティンが担当、1965年には、ビートルズの映画『A Hard Day’s Night』に対抗する形で制作されたバンドのミュージカル映画『Ferry Cross the Mersey』に主演し、ビートルズに次いで最も成功したリヴァプール出身のバンドになりました。

しかしながら、60年代後半にはイギリスとアメリカで人気に陰りが見え始め、バンドは1967年に解散。その後、マースデンは子供向けのTV番組やミュージカルに出演し、1972年に新たなラインナップでペースメイカーズを再結成しました。バンドは2010年代後半まで時折ツアーを行なうなど活動を続けていましたが、マースデンが2018年に引退を発表しました。

なお、マースデンは1989年にヒルズボロ・スタジアムで発生した群集事故（ヒルズボロの悲劇）を受け、ポール・マッカートニーらと再レコーディングした「Ferry Cross the Mersey」をチャリティ・シングルとしてリリースしており、ポールは次の追悼メッセージを発表しています。

「ジェリーは、僕らがリヴァプールで活動していた初期の頃からの仲間で、彼と彼のバンドは地元の音楽シーンで最大のライバルだった。彼がパフォーマンスした “You’ll Never Walk Alone” と “Ferry Cross the Mersey” は、ブリティッシュ・ミュージックの楽しかった時代を思い出すきっかけとして、多くの人々の心に残っている。彼の妻ポーリーンとご家族にお悔やみを申し上げます。ジェリー、またね。これからも笑顔でキミを思い出すよ」

安らかなる眠りをお祈りいたします。