アメリカの伝説的シンガー/ソングライター、ジミー・バフェットが76歳で死去

1977年のヒット曲「Margaritaville」で知られる米シンガー/ソングライターで、作家/実業家でもあったジミー・バフェット(Jimmy Buffett)が9月1日、76歳で死去しました。

バフェットのSNSで訃報が伝えられており、公式な死因は発表されていませんが、TMZによると、バフェットは2019年に皮膚ガンと診断され、悪性リンパ腫に進行していたそうです。

バフェットは昨年、入院のために秋以降の公演を延期し、今年の2月からステージに復帰していましたが、7月2日の公演が最後のパフォーマンスになりました。

1946年12月24日にミシシッピ州パスカグーラで生まれたバフェットは、南ミシシッピ大学を卒業した後、音楽の道を歩むためにナッシュヴィルに移住し、1970年にフォーク風のデビュー・アルバム『Down to Earth』をリリースしました。

しかしながらアルバムは成功せず、大道芸に熱中していたバフェットは、ニューオーリンズのフレンチ・クオーターで観光客相手に路上パフォーマンスを行なうようになり、1971年にカントリー歌手のジェリー・ジェフ・ウォーカーと大道芸を行なうためにフロリダ州キーウェストを訪れ、その後この地に根を張り、ビーチ好きの人物として知られていました。

バフェットは、1973年にABCレコードからリリースしたセカンド・アルバム『A White Sport Coat and a Pink Crustancean』がそこそこの成功をおさめ、同作がバフェットの特徴となる “ガルフ&ウェスタン・サウンド”(Gulf and Western=カントリー、ポップ、ロック、フォーク、カリビアン音楽を組み合わせたトロピカル・ロック)の始まりになりました。

翌1974年の『Living and Dying in 3/4 Time』と『A1A』、1975年の映画『Rancho Deluxe』(邦題『荒野にさすらう若者たち』)のサントラ・アルバム、1976年の『Havana Daydreamin’』など、立て続けにリリースしたアルバムが1977年の大ヒット・アルバム『Changes in Latitudes, Change in Attitudes』(邦題『きまぐれ航路』)の原動力となり、代表曲「Margaritaville」(邦題「魅惑のマルガリータヴィル」)をフィーチャーした同作は、カントリー・チャートで2位を記録し、プラチナ・アルバムに認定されました。

その後も、1978年の「Cheeseburger in Paradise」や「Livington Saturday Night」、1979年の「Fins」「Volcano」などのヒットが続き、2003年にカントリー・スターのアラン・ジャクソンとコラボした「It's Five O'Clock Somewhere」や、2011年にザック・ブラウン・バンドとコラボした「Knee Deep」が、USカントリー・チャートの第1位に輝きました。

バフェットは生涯で31枚のスタジオ・アルバムを発表し、今年の後半には32作目となる『Equal Strain on All Parts』をリリースする予定でした。

なお、最近バフェットとレコーディングしたポール・マッカートニーが、長い追悼コメントを発表しています。
「あまりにも多くの素晴らしい人々がこの世を去っていきますが、ジミー・バフェットもその中の一人です。ジミーとはしばらく前からの知り合いで、彼は最も親切で寛大な人でした。ある時、休暇中の僕がギターを持参するのを忘れ、弾きたくてうずうずしていた時、彼は自分のギターを使わせてくれると言ったのですが、僕が左利きだと伝えると、ジミーは自分のローディーにギターの弦を張り替えさせ、休暇の間貸してくれたのです。その後、彼はギターを作っている仲間の一人に頼み、僕のために美しい左利きのギターを作ってくれました。 それは美しい楽器で、そのギターを弾くたびに、ジミーがどれほど素晴らしい人物だったのかを思い出します。


彼には、人生に対する驚くべき欲望と美しいユーモアのセンスがありました。彼と昔話をした時、彼の話はとてもエキゾチックで劇的で、セーリング旅行やサーフィンの話など、刺激的な話があまりにもたくさんあり、彼についていくのが大変でした。最後の瞬間まで、彼の目はユーモアで輝き続け、『僕はこの世界が大好きで、この世のあらゆる瞬間を楽しむつもりだ』と言っていました。僕らの多くが、ジミーと彼の素晴らしいパーソナリティを惜しむことでしょう。

彼の最新曲の一つ “My Gummy Just Kicked In” に参加できて、とても嬉しかったです。 僕らのセッションは本当に楽しく、彼が聴かせてくれた新曲の中で特に気に入ったのは、“Bubbles Up” という曲で、曲が素晴らしかっただけでなく、ヴォーカルも僕がこれまでに聞いた彼の歌の中で最高だったと伝えました。彼は、ダイビングの水中訓練で使われるフレーズを人生の隠喩とし、混乱して自分がどこにいるのかわからない時は、ただ泡を追えば、泡が水面まで導いてくれると歌っていました。

さようなら、ジム。あなたはとても特別な人で、友人であり、あなたを知り、愛することができてとても光栄でした。Bubbles up, my friend 愛を込めて、ポール」

安らかなる眠りをお祈りいたします。

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