フレンチ・ポップのアイコン、フランソワーズ・アルディが80才で死去

フランスのシンガー／ソングライター／女優のフランソワーズ・アルディ（Françoise Hardy）が6月11日、咽頭がんのため80才で死去しました。

息子のトーマス・デュトロンが訃報を伝えており、アルディは10年以上ガンと闘った末、パリで亡くなりました。

1944年にナチス占領下のパリで生まれたアルディは、戦後文化の中で育ち、子供時代からピアノを習い、16才でギターを手にした後、作曲を始めました。

60年代初頭からレコーディングを開始したアルディは、1962年にデビュー・アルバム『Tous les garçons et les filles』（邦題「男の子と女の子」）を発表し、タイトル曲と「Le temps de l’amour」のヒットにより、チャートのトップに躍り出ました。

アルディはその後、世界のポップ・シーンに影響を与える存在となり、彼女を高く評価したボブ・ディランは、1964年のアルバム『Another Side of Bob Dylan』のライナーノーツに、「フランソワーズ・アルディに捧げる」としたポエムを掲載していました。

アルディは、60年代後期になっても高評価を得たレコードをリリースし続け、1966年のアルバム『Françoise Hardy Sings in English』では英語の曲を歌い、ボサ・ノヴァの影響を受けた1971年の「La question」では、それまでのポップ路線から離れ、より深く成熟したテーマを追求するようになりました。

その後も世界中でカルト的な人気を博し、独自の芸術性を確立したアルディは、晩年までコンスタントにアルバムをリリースしていましたが、2018年の『Personne d’autre』が最後の作品になり、2021年にはガン治療の影響で歌手活動に終止符を打っていました。

また音楽以外では、占星術師や作家としても多彩なキャリアを積み、女優として数多くの映画に出演したほか、フランスのファッション界でも絶大な影響力を持ち、多くの人々から時代精神を定義するポップ・アイコンと見なされていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。