ホークウインドやボウイのキーボーディスト／ヴァイオリニスト、サイモン・ハウスが76歳で死去

ホークウィンドやデヴィッド・ボウイのキーボーディスト／ヴァイオリニストを務めたサイモン・ハウス（Simon House）が5月25日、76歳で死去しました。

家族が訃報を伝えていますが、死因などは発表されていません。

1948年にノッティンガムで生まれたハウスは、60年代にロンドンに移り、トニー・ヒルが結成したロック・バンドのハイ・タイド（High Tide）に加入しました。当初はベースを担当していましたが、ヒルの勧めでヴァイオリンに転向し、様々なエフェクトをかけた演奏がバンドのサウンドを特徴づけ、バンド1969年のデビュー・アルバム『Sea Shanties』と1970年のセカンド・アルバム『High Tide』に参加しました。

1970年にハイ・タイドが解散した後、音楽グループのサード・イアー・バンド（Third Ear Band）のメンバーになり、ロマン・ポラスキー監督1971年の映画『Macbeth』のサントラ・アルバムでは、ヴァイオリンに加え、キーボードとVCS3シンセサイザーも演奏していました。

1974年、ホークウインドのシンセ・プレイヤーだったデル・デットマールの後任としてバンドに加入し、バンドが同年発表したアルバム『Hall Of The Mountain Grill』のタイトル曲の作曲も手掛けるなど、即座に存在感を示しました。1975年のアルバム『Warrior On The Edge Of Time』では、彼が演奏するメロトロン、シンセ、ヴァイオリンがアルバムのコンセプトに命を吹き込み、本領を発揮しました。

しかしながら1978年初頭にホークウインドを脱退し、ハイ・タイド時代から知り合いだったデヴィッド・ボウイのライヴ・バンドに加入。同年3月に開幕したボウイのワールド・ツアー「Isolar II」にヴァイオリニストとして参加したハウスは、ひと際目立つ白ずくめの衣装で存在感を放ち、ボウイの個性的な曲「Warszawa」（邦題「ワルシャワの幻想」）などを引き立てました。また、ボウイ1979年のアルバム『Lodger』（邦題『ロジャー〈間借人〉』）にも、ブライアン・イーノらと参加しています。

80年代はセッション・ミュージシャンとして活躍し、ジャパン1981年のアルバム『Tin Drum』（邦題『錻力の太鼓』）や、トーマス・ドルビー1982年のデビュー・アルバム『The Golden Age Of Wireless』（邦題『光と物体』）などに参加。

その後、1989年にホークウインドに再加入したハウスは、バンド1990年のアルバム『Space Bandits』や1991年のライヴ・アルバム『Palace Springs』に参加した後、1991年に再びバンドを脱退しましたが、2000年代に復帰し、バンド2001年のライヴ・アルバム『Yule Ritual』と2002年のライヴ・アルバム『Canterbury Fayre』、および2005年のスタジオ・アルバム『Take Me To Your Leader』と2006年の『Take Me To Your Future』に参加していました。

ハウスの訃報を受け、デヴィッド・ボウイの公式SNSに追悼メッセージが掲載され、次のように綴られています。

「サイモンは、ボウイのトリオ “ターコイズ” の仲間だったトニー・ヒルと共に、ハイ・タイドでヴァイオリニスト兼キーボード奏者としてキャリアをスタートさせ、長く輝かしいキャリアを築きました。サイモンとデヴィッドが初めて出会ったのは、デヴィッドがザ・ハイプのメンバーだった頃、ハイ・タイドと同じ公演に出演していた時かもしれません。その後、ボウイはハイ・タイドを褒めていました。

サイモンのライヴ演奏は、1978年 “Isolar II” ツアーの公式ライヴ・アルバム『Stage』『Welcome To The Blackout』『Live in Berlin』などで聴くことができます」

安らかなる眠りをお祈りいたします。