ジョージ・ハリスン生誕80周年記念上映『コンサート・フォー・ジョージ』、 元ビートルズ担当ディレクター水原健二さんによるレビュー到着
ジョージ・ハリスンの生誕80周年記念上映となる『コンサート・フォー・ジョージ』劇場公開まであと1週間! 著名人の推薦コメント(6月30日、7月13日MLCニュース参照)、会場配布特典やピーター・バラカン氏のトークショウ(7月19日MLCニュース参照)に続き、今回は元担当ディレクター氏によるレヴューが公開されました。

〈以下、公式インフォメーションより〉
奇跡の共演! 静かなるビートル、ジョージ・ハリスンの音楽と人生を称え、
盟友エリック・クラプトンが開催した歴史的一夜。
伝説のトリビュート・コンサートが
ジョージ生誕80年の今年、初めて劇場の大スクリーンに蘇る!
『コンサート・フォー・ジョージ』
7月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか公開
元ビートルズ担当ディレクター水原健二さんによるレビュー到着ジョージ・ハリスン生誕80周年を記念し、日本で初劇場公開となる伝説のコンサート映画『コンサート・フォー・ジョージ』の公開日までいよいよ後1週間となりました。
エリック・クラプトン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ジェフ・リン、トム・ペティ、ラヴィ・シャンカール、ビリー・プレストンから、トム・ハンクスがサブライズ参加したモンティ・パイソンまで、ジョージの親しい友人たちが奇跡の共演を果たし、“静かなるビートル”ジョージ・ハリスンの音楽と“美しき人生”を称えた、感動と慈愛溢れるコンサート映画『コンサート・フォー・ジョージ』。
オフィシャル・サイト
公開まで後1週間と迫る中、本作を一足先にご覧になっていただいた元ビートルズ担当ディレクターで、ジョージとも直接お会いになったことがある水原健二さんより映画レビューが届きました。
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『コンサート・フォー・ジョージ』
ジョージ・ハリスンとは40年来の盟友、エリック・クラプトンが音楽監督と主演を務めたことで、この追悼コンサートは “歴史的一夜” となった。ジョージの作品──壊れそうな繊細さと優しさと、どこか切なさを湛えた、まさにジョージにしか描くことのできない音楽世界──と人間ジョージへのオマージュ、そして深い鎮魂の思いを、このにぎやかで盛大なコンサートから受け取らない者はいないだろう。ステージに登場する人物たちは、亡き友、亡き家族への愛を胸に、各々の個性とその存在感を発揮しながら演奏する。それこそがジョージへの追悼であり、トリビュート・コンサートの眼目だった。
ポール・マッカートニーは、「サムシング」「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」で、ヴォーカルとギターをクラプトンのリードに委ね、クラプトンの魅力を際立たせた。脇役に徹したポールだが、その存在はやはり圧倒的だ。「フォー・ユー・ブルー」「オール・シングス・マスト・パス」で歌う姿やジョージの息子ダニーへ向ける眼差しからは、風格と優しさが伝わってくる。貫禄とともに往年のチャーミングさを失うことのないリンゴも、ジョージとの合作「想い出のフォトグラフ」と「ハニー・ドント」でステージを盛り上げる。「イズント・イット・ア・ピティ」への強い思い入れからクラプトンが託したのがビリー・プレストン。ビリーのヴォーカルはクラプトンのギターと一体となって情感豊かに歌い上げる。そしてモンティ・パイソンが大爆笑を誘って登場。興奮の坩堝と化したステージは果てなく続くかのようだ。コンサートで歌われたジョージの代表作のほとんどは、ビートルズ時代からソロまで、日本発売のレコードは私が現役時代に手掛けさせてもらったもので、思い出深い。
私が初めてジョージ・ハリスンに会ったのは1971年9月。ジョン・レノンの新作『イマジン』のプロモーションのために、ジョンとヨーコに呼ばれて同宿していたニューヨークのセント・レジス・ホテルでのことだった。それはジョージが主催し、4万人に及ぶ観衆が詰めかけたマディソン・スクエア・ガーデンでの「バングラデシュ難民救済コンサート」が終わって1ヵ月余り後、ジョン・レノンが引き合わせてくれた幸運のひと時だった。ジョージと一緒にボブ・ディランも姿を見せた。
バングラデシュはパキスタンとの分離独立戦争に勝利し、1971年に独立を果たしたが、多くの難民を生むことになった。当時アメリカではヴェトナム反戦運動のさなか。69年には「愛と平和の祭典」を掲げてウッドストック・フェスティバルが開催されている。ジョージはそうした反戦・平和運動の大きな潮流のただ中で、バングラデシュ難民への救済メッセージを世界に発信、ロック史上初のチャリティ・コンサートを成し遂げたのだった。
ニューヨークのホテルの一室に現れたジョージはしかし、物静かで、多くを語らず、控えめだった。世俗から距離を保つ、内省の人──感激と緊張でいっぱいだった私の心に、ジョージのそんなプロフィールが刻まれた。
「バングラデシュ難民救済コンサート」から30年の後、ジョージ・ハリスン逝去。58歳だった。追悼コンサートには、クラプトンはじめ、リンゴ、ラヴィ・シャンカール、ビリー・プレストン、ジム・ケルトナー、クラウス・フォアマンらかつて「難民救済コンサート」に出演した同志たちの多くが一堂に会した。
ジョージへの敬意と惜別をこめて開催されたコンサートは、「夢で逢いましょう」でフィナーレ。トリを務めたのはジョー・ブラウン。ウクレレと歌が残す深く長い余韻のなかで、奇跡のステージは幕を下ろした。
2023年7月10日
水原健二(元東芝音楽工業・ビートルズ担当ディレクター)
1943年東京都生まれ。1967年慶応義塾大学卒業後、東芝音楽工業(のちの東芝EMI、東芝EMIミュージック・ジャパン)入社。同社を退職後、時事通信社・出版局編集委員を経て、国立大学・上越教育大学学長特別補佐。東芝音工勤務時代にビートルズ担当ディレクターとして、『サージェント・ぺパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』『マジカル・ミステリー・ツアー』『イエロー・サブマリン』『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』『レット・イット・ビー』『アビイ・ロード』のアルバム制作と宣伝を手掛ける。ビートルズ解散後は、ジョン・レノンの『ジョンの魂』『イマジン』、ジョージ・ハリスンの『オール・シングス・マスト・パス』、ポール・マッカートニーの『ウイングス・ワイルド・ライフ』、リンゴ・スターの『センチメンタル・ジャーニー』などを担当した。1971年に東京とニューヨークで行なったジョンとヨーコへの特別インタビューが2枚のCDに残されている。
■公開記念トーク・イベント
ピーター・バラカン トーク・イベント
・会場:TOHOシネマズ シャンテ劇場
・時間;
19:00からの上映の回の上映後、アフター・トーク
19:00〜 開映 20:55予定〜 トークショー(約30分)
・チケット販売;
★26日(水)0時(25日(火)24時)からTOHOシネマズ シャンテ劇場HPにて販売
シネマイレージ会員は25日(火)の21時から購入可能
〈劇場HP〉TOHOシネマズ シャンテ劇場HP
★ムビチケオンラインは使用可能です。通常の映画の鑑賞料金でトークイベントもご覧いただけます。
※招待券等・無料鑑賞適用不可。
★ピーター・バラカン プロフィール
1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、『バラカン・ビート』(インターFM)、『ウィークエンド・サンシャイン』(NHK-FM)、『ライフスタイル・ミュージアム』(東京FM)、『ジャパノロジー・プラス』(NHK BS1)などを担当。
著書に『ピーター・バラカン式英語発音ルール』(駒草出版)、『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ラジオのこちら側』(岩波新書、電子書籍だけ)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫、、電子書籍だけ)などがある。
2014年から小規模の都市型音楽フェスティヴァル “Live Magic”、そして2021年から“Peter Barakan’s Music Film Festival” のキュレイターを務める。
ピーター・バラカン公式ウェブサイト
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■公開記念冊子 概要
・各劇場、公開初日より入場者へ配布(なくなり次第終了)
・8Pオールカラー 表紙:本作アートワーク/裏表紙:本秀康氏描き下ろしイラスト
・寄稿(水原健二・藤本国彦)・作品紹介
※なお、今回、劇場プログラムは権利上の制限から販売がございません。
■ 映画劇場予告編
●7.28公開『コンサート・フォー・ジョージ』
100秒劇場予告編
■著名人の方々からの推薦コメント (敬称略・50音順)
掲載ページ
オカモトコウキ(OKAMOTO'S)/喜多建介(ASIAN KUNG-FU GENERATION)/杉真理(シンガーソングライター)/立川直樹(プロデューサー/ディレクター)/直枝政広(カーネーション)/藤田朋子(俳優)/藤本国彦(ビートルズ研究家)/ピーター・バラカン(ブロードキャスター)/星加ルミ子(元ミュージック・ライフ編集長)/本秀康(イラストレーター)/山崎洋一郎(ロッキング・オン編集長)/湯川れい子(音楽評論・作詞家)/和田唱(TRICERATOPS)
■ 映画作品概要
作品名:『コンサート・フォー・ジョージ』
上映時間:約102分
監督:デヴィッド・リーランド
製作:レイ・クーパー、オリヴィア・ハリソン、ジョン・ケイメン
製作総指揮:オリヴィア・ハリソン、ブライアン・ロイランス
音楽監督:エリック・クラプトン
コンサート・オーディオ・プロデュース:ジェフ・リン
撮影監督:クリス・メンゲス
編集:クレア・ファーガソン
出演:エリック・クラプトン、ポール・マッカートニー、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、ジェフ・リン、リンゴ・スター、ジョー・ブラウン、サム・ブラウン、ジュールズ・ホーランド、ビリー・プレストン、レイ・クーパー、アヌーシュカ・シャンカール、ラヴィ・シャンカール、モンティ・パイソン with トム・ハンクス
制作年:2022年 制作国:アメリカ
コピーライト:© 2018 Oops Publishing, Limited Under exclusive license to Craft Recordings
公開表記:7/28(金)〜 TOHOシネマズ シャンテほか公開
公開作HP:『コンサート・フォー・ジョージ』HP
■ ビートルズ研究家・藤本国彦さんによる曲解説動画
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」
「オール・シングス・マスト・パス」
「ハンドル・ウィズ・ケア」
■ ジョージ・ハリスン生誕80周年記念 関連作品

ジョージ・ハリスン・インタヴューズ
アシュリー・カーン(編)、伴野由里子(訳)
MUSIC・2023.05.31
ジョージ・ハリスンのデビュー直前〜ソロ時代までの様々な発言をコンプリートした『ジョージ・ハリスン・インタヴューズ』6/28発売決定!(6/11追記あり)

2018.2.23発売
劇場の感動をご自宅で。ロイヤル・アルバート・ホールにビッグ・スターが集いジョージ・ハリスンを偲んだ伝説のコンサートのライヴ盤がリリース。本作品はグラミー賞「ベスト・ロング・フォーム・ミュージック・ビデオ」を受賞。
ザ・ビートルズでの活躍をはじめ、ソロになってからも数多くの名曲を残したジョージ・ハリスン。ジョージが他界してからちょうど1年後の2002年11月29日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでジョージの妻オリヴィア・ハリスンと盟友エリック・クラプトンの発案によって行われた伝説のトリビュート・コンサートがリリース。
<商品フォーマット>
『コンサート・フォー・ジョージ』(2CD + 2Blu-ray)
<輸入盤> 品番 : 720-3003 | 価格:オープンプライス 他、全4形態で発売
商品形態・収録曲他詳細:ユニバーサル・ミュージック 公式ページ



MUSIC LIFE ザ・ビートルズ リボルバー・エディション
BOOKS・2023.01.24
『リボルバー』が開けた回転扉──新ミックス/スペシャル・エディション徹底検証

56年目に聴き直す『リボルバー』深掘り鑑賞ガイド〈シンコー・ミュージック・ムック〉
BOOKS・2022.11.02
ビートルズが実験的なサウンドを追求した『リボルバー』スペシャル・エディションの聴きどころを中心に多角的に解説!

伝説の音楽雑誌ティーンビート ビートルズ特集保存版
BOOKS・2022.11.01
伝説の音楽雑誌『ティーンビート』がここに復活!! 60年代のリアルな空気を伝える決定版!!

ザ・ビートルズ:Get Back
MUSIC・2021.10.08
公式写真集『ザ・ビートルズ:Get Back』間もなく発売! スタジオに置かれたテープレコーダに記録された150時間に及ぶ録音テープが50年前の真実を語りだす
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