ジャズ・フュージョンのパイオニア、チック・コリアが79歳で死去

米ジャズ・ミュージシャン/キーボーディスト/作曲家のチック・コリア(Chick Corea)が2月9日、フロリダ州タンパ・ベイの自宅でガンのため79歳で死去しました。
訃報を伝えた彼のFecebookページによると、コリアは最近発見されたばかりの珍しいガンを患っていたそうで、声明には亡くなる直前のコリアによるメッセージも掲載されています。
「音楽の炎が明るく燃え続けるよう、私の旅に力を貸してくださった全ての方々に感謝します。私は、多少なりとも音楽を演奏し、作曲し、パフォーマンスすることを考える人々がそうすることを願っています。それはあなたのためだけでなく、私たちのためにです。世界がより多くのアーティストを必要としているのは、それが大きな楽しみでもあるからです。

そして、私にとって家族のような素晴らしいミュージシャンの友人たちへ。皆さん全員から学び、一緒に演奏したことは恩恵であり、名誉なことでした。私の使命は、出来る限りどこにおいても創作の喜びをもたらし、心から称賛する全てのアーティストとそれを行うことであり、それが私の人生を豊かにしてくれました」

1941年にマサチューセッツ州チェルシーに生まれたコリアは、4歳でピアノを弾き始め、60年代初期からプロとしてのキャリアをスタートさせました。1966年にデビュー・ソロ・アルバム『Tones for Joan’s Bones』を発表し、1968年後半からハービー・ハンコックの後任としてマイルス・デイヴィスのバンドでエレクトリック・ピアノを弾くようになり、マイルスのアルバム『In a Silent Way』や『Bitches Brew』などに参加しました。

1971年、ベーシストのスタンリー・クラークらとジャズ・ロック・バンドのリターン・トゥ・フォエヴァーを結成したコリアは、1972年に同名のアルバム『Return to Forever』を発表し、マハヴィシュヌ・オーケストラやウェザー・リポートらと共にジャズ・フュージョン・ムーヴメントの先導者になりました。

また、70年代にゲイリー・バートンやハービー・ハンコックらとコラボしたほか、80年代にはチック・コリア・エレクトリック・バンドやアコースティック・バンドを結成し、2008年にはピアニストの上原ひろみと日本武道館で公演を行なうなど、精力的な活動を続けていました。

コリアは、2020年のソロ・アルバム『Plays』に至るまで、数えきれないほどのアルバムを残し、そのうち23作品でグラミー賞を受賞しています。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
Bobby McFerrin & Chick Corea
Spain - LIVE HD
Return to Forever
(Chick Corea)

また、所属レーベルのコンコード、ならびに日本の発売元であるユニバーサルミュージックも哀悼のメッセージを発表しています。

〈以下メイカー・インフォメーションより〉

訃報:50年以上、最前線で音楽を演奏し続けたチック・コリアが2月9日に癌で逝去。

© Jordin Pinkus / Chick Corea Production

チック・コリア氏が、2月9日にがんで逝去されていたことが公式HP、SNSで発表された。享年79歳だった。

1941年マサチューセッツ州生まれの偉大なピアニスト/キーボーディスト/コンポーザー/バンド・リーダーであるチック・コリアは、『ダウン・ビート』誌のジャズの殿堂入りを果たし、NEA(全米芸術基金)ジャズ・マスター受賞者であり、グラミー賞史上最もノミネートされたアーティストの一人であり、4つのラテン・グラミー賞に加え、グラミー賞では67回のノミネートと23回の受賞を果たしている。60年代後半から70年代初頭にマイルス・デイヴィスのジャンルを打ち破るようなバンドで演奏して以来、チックはそのキャリアの中で驚くほど多くの音楽的基盤に触れてきたアーティストだ。

20世紀がコリアのキャリアの頂点だったと予想されるが、21世紀になっても彼は積極的に多くの作品を録音し、世界中でライヴを行なってきた。アコースティック・ピアノやエレクトリック・キーボードを演奏したり、複数のバンドを率いたり、ソロで演奏したり、多くのミュージシャンとコラボレートしたりと、チックのキャリアは決して止まることがなかった。それを裏付けるように、彼は2014年から2018年の間に3回、米国『ダウン・ビート』誌の読者投票でアーティスト・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。

「チック・コリアが亡くなったことは、音楽界にとってもコンコードにとっても記念碑的な損失です」とチーフ・レーベル・エグゼクティヴのトム・ウォーリーはコメントしている。「24年間、コンコードはチックの故郷であり、彼の芸術的な才能と人間としての存在感を誇りに思ってきました。

様々な音楽スタイルや楽器のアンサンブルでレコーディングを行なってきたチックは、常にセンスと高度な技術に基づき、能力を発揮していました。50年以上にわたり、何世代にもわたる音楽家や音楽ファンは、彼の作曲、演奏、録音の両方にインスピレーションを受けてきました。

コンコードは、チックとの長い関係を誇りに思っており、チックの輝かしい人生とキャリアを目の当たりにすることができました。世界にインパクトのある貢献をしてくれたことに永遠に感謝しています」とさらにコメントしている。

コンコードとの素晴らしいディスコグラフィには、ギタリストのジョン・マクラフリンとの『ファイブ・ピース・バンド・ライヴ』、ニューヨークのブルーノートで行なったキャリア集大成ライヴを収録した『ザ・ミュージシャン(ライヴ・アット・ニューヨーク・ブルーノート)』、若手中心バンドのプロジェクト『ザ・ヴィジル』、ドラマーのスティーヴ・ガッドとの『チャイニーズ・バタフライ』のほか、『ザ・スパニッシュ・ハート・バンド』『トリロジー2』などがあり、コリアの最新作は2020年8月28日にリリースされた『プレイズ』は、ソロ・パフォーマンス・ライヴを収録した魅惑的で親密なダブル・アルバムとなっている。

また、チックは2018年12月5日に日本先行でリリースされたアルバム『トリロジー2』と、その収録曲「オール・ブルース」で、第63回グラミー賞の最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム部門と最優秀即興ジャズ・ソロ部門にノミネートされており、日本時間3月15日(月)に授賞式が行なわれる予定だ。

商品詳細
チック・コリア
『プレイズ』

CD(2020/9/4)¥4,840

チック・コリアの公式HPでは以下のメッセージが公開された。

公式SNSにて公開されたチック・コリア氏のメッセージ:

I want to thank all of those along my journey who have helped keep the music fires burning bright. It is my hope that those who have an inkling to play, write, perform or otherwise, do so. If not for yourself then for the rest of us. It’s not only that the world needs more artists, it’s also just a lot of fun.

And to my amazing musician friends who have been like family to me as long as I’ve known you: It has been a blessing and an honor learning from and playing with all of you. My mission has always been to bring the joy of creating anywhere I could, and to have done so with all the artists that I admire so dearly—this has been the richness of my life.
 

私の旅路において、音楽の火を明るく燃やし続けてくれた全ての人に感謝します。演奏したい、作曲したい、パフォーマンスしたいと思っている人は、そうしてほしいと願っています。自分のためではなくとも、他の人々のために。世界はより多くのアーティストを必要としているだけではなく、それは単にとても楽しいことなのだから。

そして、知っている限りの、私にとって家族のような存在だった素晴らしいミュージシャンの友人たちへ。皆さんから学び、皆さんと一緒に演奏できたことは幸せであり、名誉なことでした。私の使命は、どこにでも創作の喜びをもたらすこと、そして私が心から尊敬するアーティストたちと一緒にそれを実現すること、これが私の人生の豊かさでした。

■チック・コリア各種リンク
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YouTubeチャンネル

商品詳細
チック・コリア 
『Classic Album Selection』

5CDs(2018/6/29)輸入盤
商品詳細
チック・コリア 
『5 Original Albums Vol.2』

5CDs(2019/11/1)輸入盤
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