KISSのオリジナル・ギタリスト、エース・フレーリーが74歳で死去

10月17日の速報でお伝えしたように、KISSの創設メンバーで初代ギタリストのエース・フレーリーが10月16日、ニュージャージー州の病院にて74歳で死去しました。

フレーリーは9月5日までUSソロ・ツアー「10,000 Volts」を行なっていましたが、同月25日に自宅スタジオで2度転倒して脳出血を起こし、生命維持装置をつけた状態で入院していました。しかしながら、フレーリーの病状が改善しなかったため、家族が生命維持装置を外すことを検討し、その数時間後に息を引き取ったそうです。

エース・フレーリー（本名ポール・ダニエル・フレーリー）は1951年、ニューヨークシティのブロンクスで生まれ、音楽に囲まれて育ちました。地元のバンドで演奏した後、1972年後半に後にKISSとなるバンドのオーディションを受け、ポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ピーター・クリスと共にKISSのクラシック・ラインナップのメンバーになり、ザ・スペースマン（別名スペース・エース）のキャラクターを確立しました。

フレーリーは、バンド1974年のデビュー・アルバム『Kiss』（邦題『キッス・ファースト 地獄からの使者』）から1981年の『Music From “The Elder”』（邦題『～エルダー～魔界大決戦』）まで参加しましたが、後者のアルバムがリリースされた後に脱退し、1982年の『Creatures of the Night』（邦題『暗黒の神話』）では、アルバムのジャケットには登場したものの、クレジットのみで演奏はしていませんでした。

KISS脱退後、1984年にソロ活動を開始したフレーリーは、フレーリーズ・コメットという自身のバンドを結成し、バンド名義で2枚のアルバムをリリースしたほか、1989年にソロ名義のアルバムもリリースし、1996年にKISSの再結成ツアーに参加しました。

KISSはその後、1998年に4人のオリジナル・メンバーによるアルバム『Psycho Circus』をリリースし、同作にはフレーリーが提供した唯一の曲「Into the Void」が収録されていました。

そして、2001年にKISS初のフェアウェル・ツアーが終了した後、フレーリーは再びバンドを脱退し、2009年の『Anomaly』から2024年の『10,000 Volts』（2023年11月29日／2024年2月28日MLCニュース）に至るまで、6枚のソロ・アルバムをリリースしました。

この中には、2016年にリリースしたカヴァー・アルバム第1弾『Origins Vol. 1』と、2020年の第2弾『Origins Vol. 2』（2019年7月4日MLCニュース）が含まれ、今年中に第3弾『Origins Vol. 3』のリリースが決まっていたフレーリーは、亡くなる直前まで次の第4弾『Origins Vol. 4』の制作に取り掛かっていたそうです。

なお、フレーリーは2014年にKISSのメンバーとして「ロックの殿堂」入りを果たし、今年の12月には、KISSのメンバーとして「ケネディ・センター名誉賞」の授賞式に出席する予定でした（8月22日MLCニュース）。

ジーン・シモンズも追悼メッセージの中で、「さらに悲しいことに、エースは12月のケネディ・センター名誉賞の授賞式で表彰されるまで生きられなかった」と綴っています。

また、KISSの歴代メンバーのみならず、多くのミュージシャンが追悼メッセージを発表しており、1974年にKISSの前座を務めたラッシュのゲディ・リーは、次のように綴っています。

「エース・フレーリーの悲劇的な訃報に愕然とし、深い悲しみに暮れています。1974年にKISSのオープニング・アクトを務めた時、アレックス、ニール、そして私は、公演が終わると彼のホテルの部屋で何晩も一緒に過ごし、彼を爆笑させようと思いつく限りのくだらないことをしました。彼は紛れもない個性を持つ、正真正銘のロックスターでした。エース、安らかに眠ってください。ロックンロールの世界に新参者を迎え入れてくれて、本当にありがとう」

安らかなる眠りをお祈りいたします。