【連載特集:ジャパン】

【ミュージック・ライフ写真館】ジャパン〜ミック・カーン

【ミュージック・ライフ写真館/ML Imagesライブラリー 撮影:浅沼ワタル、長谷部 宏 pix : Watal Asanuma, Koh Hasebe / ML images / Shinko Music】

連載特集としてお送りしておりますミュージック・ライフ・クラブでのジャパン 特集、お楽しみいただけていますでしょうか。今回は【ミュージック・ライフ写真館】を連載に目玉の一つとして組み込んで、【ジャパン〜ミック・カーン】としてお送りいたします。

実は今回の特集、本日を外すわけにはいきませんでした。といいますのが本日7月24日はミック・カーンのお誕生日で、存命なら65歳になるはずの日なのです! 惜しくも2011年に他界、直接彼をご存知の方はスティーヴ・ジャンセンや浅沼氏は言うに及ばず、レコード会社関係者の方も心からの愛情を持って懐かしいお話を聞かせてくださり、愛すべき人物であったのは他界から12年を経てもちゃんと伝わってきます。

ということで、今回のミュージック・ライフ写真館では、もちろんかつて『ミュージック・ライフ』の誌面を賑わわせた5人の写真中心にお送りしますが、テーマとしてはただの「ジャパン」ではなく、「フィーチャリング・ミック・カーン」としてお送りしてまいります。懐かしい写真多数、中には初めてご覧になるものもあるかも。まずは浅沼氏のカメラのレンズに向けられた、とても素敵な笑顔の在りし日のミックからスタート。どうぞごゆっくりお楽しみください!
1960〜90年代にかけて、雑誌『ミュージック・ライフ』は、フォトグラファー長谷部 宏氏を中心にした撮影陣で、数多くの海外アーティストの写真を撮り続けて来ました。60年代にはビートルズ、70年代にはクイーン、KISS、チープ・トリック、ジャパン、80年代にはボン・ジョヴィやデュラン・デュラン……などなど、撮りためたポジ・フィルムやプリントは、数十万枚にも及ぶ量になります。しかもその貴重さは世界的レベルのため、海外からのリクエストも絶え間なく寄せられています。

現在我々は、そのコレクションを「ML Images」と名付け、膨大な量の写真を地道に整理整頓しつつ、貸し出すサービスを行なっており、ライブラリへアップロード済みの画像は目下約3万点で、現在も増え続けております。ご利用をご希望のメディア/展示スペースの方は、弊社までご連絡いただければ、具体的なご希望がない場合でもスタッフがお応えいたします。お気軽にご相談ください。メールはこちらから。

※個人の方へのご提供は行なっておりません。
Photo by Watal Asanuma

●Stages
まず初めに、浅沼氏撮影による一連の写真を。氏がグループと出会ったのは1978年頃、まだアルバム・デビュー前のことだったそうです。その中から手始めに、出会って間もない頃のステージ写真を8枚。このあたり、具体的な日時や場所は定かではなく、メンバーの髪、特にミック・カーンの髪型・長さから判断するしかありません。最初の6枚は1978年頃、カラー3枚、モノクロ3枚おそらくそれぞれは同じステージで、カラーの3枚めは演出でステージ背後のスクリーンにスライドで映し出されたメンバーのスナップです。最後の2枚はミック・カーンの髪の長さから察するに1979年頃かと。

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●offstage
続いてオフステージのカット。先の3枚はごく初期、街のチンピラ風5人のショットはもしかしたら浅沼氏撮影による最も古い1枚かもしれません。続いてデヴィッドとスティーヴの兄弟カット。シルヴェインとヨハンセンが転じてのシルヴィアンとジャンセン──この時期まではいかにもニューヨーク・ドールズが好きそうなヴィジュアルです。続いておそらく同じセッションでの、10代当時のスティーヴ・ジャンセン単独ショット。40年余り経ってもそのまま超ハイレベルなイケオジでした。そして最後は少し格好が落ち着いてきました、1980年ごろと思われる全員でのショットです。この後さらにぐっと垢抜けてきて、まとうオーラ〜存在感も格段に変わっていきます。

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●Old Grey Whistle Test
『Old Grey Whistle Test』は1971年から88年まで英国のBBCでテレビ放送された音楽番組。口パクの多かった当時の音楽番組にあってライヴ演奏を売り物とし、その演奏がアーティスト単位でCDとしてリリースされているものもあり。浅沼氏はそのオフィシャル・カメラマンの職を勝ち取り、ジャパン以外にも多数のアーティストを撮影しています。写真は1982年10月に放送された彼らの出演回の様子で、クラリネットを演奏するミック・カーンや、ギターには一風堂の土屋昌巳の姿も。ジャパンとしては同番組に3回出演したようで、YouTubeにも非公式の違法アップロード映像があるようですが、やはりちゃんと公式に見てみたい・聴いてみたいものです。

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●offstage 2
そして浅沼氏編最後に。おそらく79年頃でしょう、撮影のためバンドを外へ連れ出し、場所を変えながらグループ・ショットを撮影していく氏。するうち、靴の紐でも結んでいたのかスティーヴが出遅れます。建物の屋根から屋根へとその谷間を飛び越え飛び越え、4人を追いかけるスティーヴ。しかしなかなかの高さのようで、さしづめ彼は「怖えーよー」とか言いながらだったのでしょうか、先に進んだ4人はそれをにこやかに見ながら囃し立てでもしている様子。デヴィッドはこっちを指差し「ワタル、こんなとこ撮ってやるなよー」的な? 広角で捉えた1枚では、実はこんな場所で撮影していたのかというのが分かります。本ページトップのミック満面の笑顔はこのうちのひとコマ、一連の写真はいかにも楽しげな様子が仲の良さをもフィルムに焼き付けてくれているので、まるっとひとまとめで採用。それでも最後にはビシッとキメ顔で締める5人なのでした。

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Photo by Koh Hasebe

●David Sylvian with Ryuichi Sakamoto
そしてここからは長谷部 宏氏撮影編。まずは『ミュージック・ライフ』1983年4月号に掲載された、デヴィッド・シルヴィアンと坂本龍一の対談企画でのツーショットから。坂本龍一の訃報は世界的に音楽界を揺るがせましたが、共同作業を行ない、公私ともに親しかった二人。彼の他界のニュースを受けシルヴィアンはインスタグラムに追悼の投稿をしており、短いメッセージとともに哀悼の意を捧げながら、その後も彼とともに過ごした時間を切り取った写真をいくつか投稿しています。公開されているものではあるものの、とても私的な想いが込められていることを感じさせます。

●London, 1978
そしてスタート地点へ。長谷部氏がジャパンを初めて撮影したのは、来日直前の英国取材でのことでした。裏通りで、オフィスで、そしてスタジオで。全員でのショットだけでなく個別のものもたっぷり撮影。一連の写真は主に、1979年3月初来日時に発売された増刊号で使用されています。3枚め、オフィスでのデヴィッドを上から捉えたカット、後方の棚・豹柄の上着の横にあるのはチャカ・カーン「I'm Every Woman」の7インチ・シングルのようです。

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そしてこの時のミック・カーンの写真がこちら。まるで小椋冬美のマンガでのワンカットのような、嘘みたいな1枚です。ミックのヴィジュアルだけでなく、いかにもなポーズまで彼女が描く美少年そのまんまのイメージではないですか?
●Tokyo, 1980
そしてお次は1980年3月・2度めの来日時に東京で、『ロックショウ』用に撮影されたもの。再来日のツアーは、東京・大阪(2公演)・京都・福岡・金沢・新潟・茨城・札幌での計9公演。右の二人が楽しげな5人でのショットは当時同じように使用され、『ミュージック・ライフが見たジャパン』にも再録されています。個別の決め顔ショットからはデヴィッドとスティーヴを。そして最後にミック・カーン、こちらはホテルのレストランかホールのような場所でしょうか、後方にデヴィッドやリチャードなどの姿も見えます。

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●Kyoto, 1980
そして最後に同ツアーでの京都にて。『ミュージック・ライフ』はこの来日時、彼らを京都で取材。そのためステージの写真も京都会館公演を撮影したものでした。前半はその模様、43年前、この会場でご覧になった方いらっしゃいますでしょうか。そしてオフステージの取材も京都です。雨の中、祇園、そして嵐山へ出向いての撮影。3月の京都は結構寒かったでしょうね、雨ならば尚更。編集部〜長谷部氏もそうとうご苦労なさったと思いますが、それにしても霧に霞む渡月橋とは、絶妙なロケーションとタイミングになったものです。

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ということで、ミック・カーンのお誕生日を祝っての【ミュージック・ライフ写真館】もここまで。彼を捉えた一部の写真は、以前にも別なところで公開し、非常にご好評いただいたことがありました。しかしその際には画像上に「ML Images」の透かし入りで公開していたので、今回改めてクリアな形でご覧いただきたいと思い、同じ画像も今一度公開した次第です。

そしてジャパンの連載特集も残すところあと1回、次回は7月27日(木)公開。『JAPAN 1983-1991 瓦解の美学』よりお送りいたします。
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