【ミュージック・ライフ写真館 〜 ML Imagesライブラリー】

ロニー・ジェイムズ・ディオ、他界から13年

【ミュージック・ライフ写真館/ML Imagesライブラリー 撮影:長谷部 宏、小嶋秀雄 pix : Koh Hasebe, Gutchie Kojima / ML images / Shinko Music】

しばらくぶりの「ミュージック・ライフ写真館」です。今回は、ロニー・ジェイムズ・ディオ特集。本日5月16日は、彼の13回めの命日なのです。それにあたってトップの画像はこれしかなかろう!、と『ミュージック・ライフ』で “リッチー・ブラックモアズ・レインボー” として初めて、そして唯一彼が表紙を飾った号にしました。1976年9月号のメンバー5人の中央でのさりげない立ち姿。リッチーご本人やコージー・パウエルも傍に差し置きセンターで……と、ちょっと居心地悪そうな感じにも見えますね。この時から間も無く半世紀が経とうとしているという……。
1960〜90年代にかけて、雑誌『ミュージック・ライフ』は、フォトグラファー長谷部 宏氏を中心にした撮影陣で、数多くの海外アーティストの写真を撮り続けて来ました。60年代にはビートルズ、70年代にはクイーン、KISS、チープ・トリック、ジャパン、80年代にはボン・ジョヴィやデュラン・デュラン……などなど、撮りためたポジ・フィルムやプリントは、数十万枚にも及ぶ量になります。しかもその貴重さは世界的レベルのため、海外からのリクエストも絶え間なく寄せられています。

現在我々は、そのコレクションを「ML Images」と名付け、膨大な量の写真を地道に整理整頓しつつ、貸し出すサービスを行なっており、ライブラリへアップロード済みの画像は目下約3万点で、現在も増え続けております。ご利用をご希望のメディア/展示スペースの方は、弊社までご連絡いただければ、具体的なご希望がない場合でもスタッフがお応えいたします。お気軽にご相談ください。メールはこちらから。

※個人の方へのご提供は行なっておりません。
ロニー・ジェイムズ・ディオは1942年7月10日、米国のニューハンプシャー州ポーツマス生まれ。学生時代からバンド活動を開始、60年代前半にはロニー・ディオ・アンド・ザ・プロフェッツとしてプロ・デビュー。その後60年代後半から新バンド、エルフをスタート。数年を経てディープ・パープルのメンバーに見出され、1972年にパープル・レコーズからデビュー作をリリース。さらにUSツアーの前座にも抜擢されたことでロック史の表舞台に登場します。が、間も無くリッチー・ブラックモアのソロ・プロジェクト開始と所属レーベルのあれやこれやでグループは消滅、レインボーのヴォーカリストとして新たなスタートを切ることになります。活動当初は “リッチー・ブラックモアズ・レインボー” を名乗っており、76年9月号で表紙を飾った当時はまだその名義だったのでした。

レインボーは1975年8月にファースト・アルバム『銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore's Rainbow)』、翌76年4月にセカンド『虹を翔る覇者(Rainbow Rising)』をリリース。この年の12月に初めて日本の地を踏みます。ロニー・ジェイムズ・ディオ、日本初上陸です。

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レインボーは初来日で日本武道館を含む9公演。ロニー・ジェイムズ・ディオは当時33歳、弊社に残る彼の姿を捉えた写真の中で最も若い時代のもののはずなのに、晩年の姿とほとんど変わらないような……。しかし! そのステージは拳を振り上げ歌い上げる姿がとても勇ましく、そして実に若々しい。一方初めての来日取材は、日本のハードロック・バンドの草分け=紫のジョージ紫をインタヴュアーに迎えての、ディオとコージー・パウエルとの対談形式で。「ステージで見ると大きく見える彼だが、意外と小柄で、人懐こい笑顔が実に好印象の男性。質問にも誠実な答えが返ってくる」と、彼の様子を伝えています。ステージでの猛烈なエネルギーを放つ様子から、実は小柄なその体格さえ大きく見えてしまっていたということなのでしょう。

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続いてこちらの4枚は、1978年1月の2度めの来日時。この日本ツアーでは、札幌公演で観客がステージに殺到、19歳の女性1人が圧死してしまう事故が発生(その結果、のちの日程のうち1公演はキャンセルに)。そのため悪い意味で記憶されることになりますが、これをきっかけにこうしたコンサートでの警備体制が見直されることにもなりました。『ミュージック・ライフ』の取材はその事故前夜に行なわれ2号に分けて掲載、リッチー・ブラックモア(1978年3月号掲載)とコージー・パウエル(同4月号)の個別インタヴュー。記念のゴールド・ディスクを授与され記念撮影には参加しているものの、ロニー・ジェイムズ・ディオ個人の取材はなかったようです。
次なる来日は1980年、この時はブラック・サバスのヴォーカリストとして日本へ(東京2回と京都・大阪での全4公演)。レインボーを脱退後、オジー・オズボーンが解雇されて2代めのヴォーカリストとしてバンドに加入。ブラック・サバスとしては初めての来日で、この時の模様は1981年1月号に掲載。

撮影された写真から察するに、どうやらお泊まりは京王プラザホテルだったようで。インタヴュー時の撮影は、新宿の街を見下ろす窓際で足を投げ出し穏やかな笑顔で。その後取材班は、彼とギーザー・バトラー、トニー・アイオミとの3人で西口のカメラ店に向けそぞろ歩くところから同行、キメッキメのステージ(下の全景写真に彼の姿はありませんが……)や澄ましたインタヴュー時とはまた異なる、メンバーの素の表情を捉えています。新宿の街角では学ラン姿のファンと談笑する姿も。背後に写り込むラッタッタが昭和を感じさせます。

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ブラック・サバスでは『ヘヴン&ヘル』(1980年)と『悪魔の掟』(原題『Mob Rules』1981年)の2枚のスタジオ作品と、その翌年リリースされたライヴ盤『ライヴ・イーヴル』(1982年)の3作を残すものの短期間で脱退。

そして彼は、同じ年に自らの名を冠したディオをスタートさせます。翌年のレディング・フェスティバルでお披露目を行ない、『情念の炎~ホーリィ・ダイヴァー』(1983年)、『ラスト・イン・ライン』(1984年)の2作リリースを経て、1985年8月に「SUPER ROCK '85 IN JAPAN」で来日。出演者は ディオの他、ラフ・カット、ママズ・ボーイズ 、EARTHSHAKERなどのヘヴィ・メタル・アクトを中心に、それ以外にもスティングとフォリナーが登場。オールナイトのイベントで、ディオの出番は未明の午前2:00頃からだったようです。

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もしかしたら深夜過ぎの特別なテンションだったのかもしれませんが、ご覧ください、このステージでの迫力! 当時43歳、脂も乗り切ってギラッギラしてます!! この公演をご覧になった方、ぜひその時の印象と感想、ご記憶でしたらお寄せください。彼らの後にもラフ・カットとママズ・ボーイズが出演、たぶんクタクタだったであろう長谷部カメラマン、日の出もパシャり。足元もぬかるみ、遠くのオーディエンスの姿からもヘトヘト感が伝わってきます。それとは対照的なのが取材時のカット。落ち着いた、というよりはどこか達観した仙人のようなポートレートが残されていました。ギタリスト、ヴィヴィアン・キャンベルとのカットではいくぶん表情が和らいで楽しげな様子もあり。

1984年には『BURRN!』が創刊し、それもあって『ミュージック・ライフ』もヘヴィ・メタル率が下がっていくことになり、ライブラリの写真はぎりぎりここまで。以後彼に関する記事は『BURRN!』がフィーチャーしていくことになるのでした。
 

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というわけで、【ミュージック・ライフ写真館】ロニー・ジェイムズ・ディオ編でした。生きて続けていてもいろいろあったでしょうが、他界後も自らが率いたバンドが存続していたり、自分がホログラムで出演して歌っていたり。13年を経てもなお関連書籍や雑誌での特集が組まれていることを、彼ならどう感じているでしょう。

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