【ミュージック・ライフ写真館 〜 ML Imagesライブラリー】

T・レックス初来日から50年

【ミュージック・ライフ写真館/ML Imagesライブラリー 撮影:長谷部 宏 pix : Koh Hasebe  / ML images / Shinko Music】

今回のミュージック・ライフ写真館は、T・レックス。マーク・ボランとミッキー・フィンを中心としたT・レックスは、1972年と73年の2度来日。その初来日の最初の公演が1972年の11月28日(火)の日本武道館で、日本に上陸したのが前々日の26日(日)でした──つまり半世紀前のちょうど今頃! 『ミュージック・ライフ』ではその初来日だけでなく、翌年の2度目の日本ツアーもしっかりと取材、彼らの写真もまた多数残されております。
1960〜90年代にかけて、雑誌『ミュージック・ライフ』は、フォトグラファー長谷部 宏氏を中心にした撮影陣で、数多くの海外アーティストの写真を撮り続けて来ました。60年代にはビートルズ、70年代にはクイーン、KISS、チープ・トリック、ジャパン、80年代にはボン・ジョヴィやデュラン・デュラン……などなど、撮りためたポジ・フィルムやプリントは、数十万枚にも及ぶ量になります。しかもその貴重さは世界的レベルのため、海外からのリクエストも絶え間なく寄せられています。

現在我々は、そのコレクションを「ML Images」と名付け、膨大な量の写真を地道に整理整頓しつつ、貸し出すサービスを行なっており、ライブラリへアップロード済みの画像は目下約3万点で、現在も増え続けております。ご利用をご希望のメディア/展示スペースの方は、弊社までご連絡いただければ、具体的なご希望がない場合でもスタッフがお応えいたします。お気軽にご相談ください。メールはこちらから。

※個人の方へのご提供は行なっておりません。
T・レックスは当初ティラノザウルス・レックスと名乗り、音楽的にはサイケデリック・フォーク〜アシッド・フォーク的なサウンドでした。そんなヒッピーでフラワーなスタイルで4枚のアルバムをリリースするも、1970年になってグループ名をT・レックスに短縮、とともにエレクトリック・ギターを大胆に導入したシングル「ライド・ア・ホワイト・スワン」が大ヒット。名を改めてから2枚目のアルバム『電気の武者』(『Electric Warrior』)ではベース/ドラムスが加入してバンド・フォーマットへ。その結果このアルバムは全英1位の大ヒットとなり、続くシングルも次から次へとチャート・イン! 広く知られるヒット曲やパブリック・イメージは、ほぼそれ以後のものと言っていいでしょう。

名を改めてからの彼らはまさに無敵状態、初来日が実現した1972年はその人気はまさに絶頂期でした。なので羽田空港はもうこの状態。
到着ロビーはごった返してさながら満員電車。彼らが乗り込んだ車はこうしてファンに取り囲まれ、よくぞご無事で……と言いたくなります。到着後はレコード会社主催の記者会見に応じ、その後さらにテレビ出演なんかも(3枚め、フジテレビ『リヴ・ヤング』にて。左は愛川欽也氏、右に見えているのは今野雄二氏)。来日中はラジオや雑誌媒体の取材が多数組み込まれており、もちろん『ミュージック・ライフ』のインタヴューも(4枚め)。この取材は公演初日となる11月28日ステージの前に実現、読者からの質問をぶつけて答えてもらうという企画でした。その模様は『ミュージック・ライフ』1973年1月号に掲載されています。

読み込み中.....

●1972年(昭和47年)
11月28日(火)日本武道館
11月29日(水)愛知県体育館
12月1日(金)大阪府立体育館
12月4日(月)日本武道館
●セットリスト
1. Chariot Choogle
2. Baby Strange
3. Mickey Finn Solo
4. Telegram Sam
5. Metal Guru
6. Spaceball Ricochet
7. Buick Mackane
8. Jeepster
9. Hot Love
10. Get It On

読み込み中.....

肝心のコンサートは、東京・大阪・名古屋の3ヵ所で4公演。初日は約1時間半のコンサートだったようですが、セットリストを調べてみても10曲しか出てこない。時間の割に曲数が少なく思えますが、しかしどうやら彼らのコンサートは毎回これくらいだった様子(前半には音響にトラブルもあったそうなのでそのせいかも?)。ライヴの評判は……あまりよろしくなかったようです。
 
────────────────
次に来日したのはその翌年。一部メンバーも交代し、東京では初日1公演のみですが、新たに広島と北九州を加えた5ヵ所で5公演。前年の滞在時に東京で録音した「20th Century Boy」からスタートするセットリストは7曲と、この年もやはり非常に少なかったようです。ML誌上では武道館の埋まり具合は7割方で、客層の低年齢化なども指摘。「前年のコンサートの評判があまりよくなかったせいではないか」とまで書かれていました。しかし、結果的に彼らが日本へやってきたのはこの2回限り。多少コンディションが悪かったとしても、今となっては観てみたかった/観ておきたかったコンサートに変わりありません。

ちなみに、名古屋での公演は名古屋市立大学の学園祭だったそう。海外からの来日アーティストが学園祭で公園というのは非常にレアなケースでは? 当時の在学生で招聘関係者の方がいらしたらぜひお話を聞いてみたいです。

読み込み中.....

●1973年
10月25日(木)日本武道館
10月27日(土)名古屋市立大学体育館
10月28日(日)大阪厚生年金会館
10月29日(月)広島郵便貯金会館
10月31日(水)新日鐵大谷体育館
●セットリスト
1. 20th Century Boy
2.  Chariot Choogle
3. Telegram Sam
4. Buick Mackane
5. Jeepster
6. Tokyo Blues
7. Get It On

読み込み中.....

写真は左から記者会見の時のものと、独自取材時のもの。ホテルの一室で、髪はやや短くなっていくぶんふっくらしたマーク・ボランと変わらずハンサムなミッキー・フィンの姿が残されており、長谷部カメラマンは時にボランに肉迫、かなりの近距離でも撮影しています。
というわけで、T・レックス/マーク・ボランのミュージック・ライフ写真館はここまで。彼はこの4年後の1977年9月16日に交通事故で他界、帰らぬ人となります。

彼らが来日した1972年と73年というのは、そのクリエイティヴィティも人気もまさに絶頂期にあり、この時代日本でそうした時期の海外アーティストが見られたのは、非常に貴重なケースだったのでした。今も世界中で愛され続けるT・レックスですが、我が国においては殊に、そうした時期の姿を直に目にすることができた、というのも一因なのではないでしょうか。
 
────────────────
■関連ニュース/【ミュージック・ライフ写真館】
2020.04.20
クイーン来日取材──1975年4月20日、東京プリンスホテル庭園にて
2020.05.15
1973年4月、ジャクソン5唯一の来日! マイケルはもちろん、全員取材での貴重な撮影
2020.05.29
スティーヴィー・ワンダー、60年代リトル・スティーヴィー時代〜70〜80年代来日時写真
2020.06.19
1978年6月、ヴァン・ヘイレン初来日。全開ステージ&特写では昭和のあの大スターも登場!
2020.07.13
1971年7月、嵐を呼んだグランド・ファンク・レイルロード後楽園球場公演
2020.10.07
【追悼】エディ・ヴァン・ヘイレン 1955-2020【再掲ミュージック・ライフ写真館】
2020.11.06
追悼エディ・ヴァン・ヘイレン第2弾
2020.12.25
ジョージ・マイケル/ワム!
2021.03.10
シンディ・ローパー 1984年+1986年
2021.04.30
ベイ・シティ・ローラーズ〜追悼レスリー・マッコーエン
2021.06.10
ボン・ジョヴィ、“スーパー・ロック '84 イン・ジャパン”で初来日!
2021.08.05
レッド・ツェッペリン1971年の初来日時に、広島市長・平和記念公園を訪問
2021.08.25
追悼・チャーリー・ワッツ
2021.09.08
ブラス・ロックの雄、シカゴ、1971年初来日&1972年再来日
2022.02.07
2月6日、ボブ・マーリー生誕77周年
2022.08.12
追悼・オリビア・ニュートン・ジョン
2022.08.19
祝71歳! 本日8月19日はジョン・ディーコンのお誕生日。プチ写真館+プレイリストでお祝い
ROCK THE BEST 長谷部宏写真集

ROCK THE BEST 長谷部宏写真集

3,850円
日本で初めてビートルズを撮り、最もクイーンを撮ったカメラマン、長谷部宏の決定版!! ビートルズ、ストーンズ、ツェッペリン、デヴィッド・ボウイ、クイーン!! KISS、デュラン・デュラン、ボン・ジョヴィ、ロック黄金時代を1冊に凝縮!! 日本のロック・フォトグラファーの第一人者、長谷部宏の全キャリア総括写真集。

ビートルズ、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、クイーン、デヴィッド・ボウイ、KISS、エアロスミス、チープ・トリック、デュラン・デュラン、ボン・ジョヴィ、ニルヴァーナ、ブラー等々、彼が 撮ってきた写真は、ロック・ヒストリーそのもの。
この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

ディスク・コレクション ガール・ポップ

ディスク・コレクション ガール・ポップ

2,420円
ディスク・ガイド・シリーズ #023 ポップ・ヴォーカル

ディスク・ガイド・シリーズ #023 ポップ・ヴォーカル

2,200円

CROSSBEAT Presents 80年代洋楽完全ガイド

1,980円
THE DIG Presents ディスコ

THE DIG Presents ディスコ

1,650円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ