【MLCプレイリスト】テーマ別に往年の名曲を集めて聴く連載企画・第11回

【MLCプレイリスト】今回のテーマは「トリオ」。バンド、MC、ギタリストなどのいろんな3人の作り出すサウンド

テーマ別に往年の名曲を集めて聴く新企画──名付けて【MLCプレイリスト】! アーティストの来日やリリース、また季節や記念日、さらにその時々のトピック的な内容をテーマに取り上げます。

……という毎回同じ書き出しで始まる【MLCプレイリスト】ですが、何かまた違ったテーマ設定でもやりたいなーと常々思っており、今回はそうしたきっかけ関係なしに「トリオ」でやってみることにしました。で、みなさん最初に思いつくグループは何でしょう?──ちなみに自分は「ジュンでーす」「長作でーす」「三波春夫でございます〜」のレツゴー三匹でした。何という完璧なオープニング! しかしこれは音楽、彼らはミュージシャンではない(長作除く)──ならばキャンディーズ!ということで、今回第11回めのタイトルは彼女たちの曲から拝借して「あぶない土曜日」とした次第です。
スーちゃんミキちゃんランちゃんの誰が一番かで喧々諤々したりして
 
MUSIC LIFE CLUB(TJ)

「トリオ」はそもそもが音楽用語で、クラシック〜ジャズ〜ロックと転じて来て、今では「ギター/ベース/ドラムスの3人で、ロックでバンドをやるにあたっての最小単位」というのはよく使われる言い回し。ライヴ演奏での実践面では最少人数での音の薄さを補うためでしょう、「ラウドなサウンドが持ち味」のバンドが結果的に多くなっているという印象です。それだけでも名バンドは多数あるのですが、そこへ「ヴォーカル3人組」や「ギタリスト3人の競演が売りのバンド」など、これらもまたある種の「トリオ」なわけで。しかも三者が並び立つと誰が一番好きかという議論も始まったりして、そうした場合必ず「十人十色」ならぬ「三人三色」となる。人数が少ないだけに役割分担や色分け、キャラ被りしないよう、三者の個性が明確に打ち出しているせいでしょうね。

そんなこんなで、最初にスタンダードなトリオをだーっと書き出して、そこへ異色なものを混ぜ込みふるいにかけ、「好きなものだけ残したらこうなりました」な全10曲。言い訳はまた後ほど。まずはお聴きに/ご覧になってみてください。

MLCプレイリスト 2023.02.22 あぶない土曜日

1. Beastie Boys - Three MC's And One DJ/BeastieBoys
2. The Supremes - I Hear A Symphony[Hullabaloo - 1965]The Supremes Archive
3. Fun Boy Three - It Ain't What You Do It's The Way That You Do It(Official Music Video)FunBoyThreeVEVO
4. Fine Young Cannibals - Johnny Come Home/TheBestMusicOttanta
5. Eagles - Hotel California(Live 1977)(Official Video)[HD]Eagles
6. ZZ Top - Thunderbird[Official Music Video]ZZ Top
7. The Police - So Lonely/The Police
8. Morphine - Buena (Official Music Video)RHINO
9. Beck, Bogert & Appice Superstition 1973 【高画質】tuzigoo
10. Wild Thing(1967)(Monterey Pop Festival)DcheJ

■楽曲解説

1. Beastie Boys “Three MC's And One DJ"(1998)

のっけからロックのフォーマットを逸脱したトリオですみません。しかしこれ、MTV以前から数多あるPV史上最高の傑作PVだと思っています。「MC3人とDJ一人」のタイトル通りシンプル極まりない楽曲/映像ながら、そこに込められた/映し出されたおとぼけトリオのグループとしての味やそれぞれのキャラクター、さらにそれを後ろで支える名DJの技。どれが欠けても成立し得ない1本だと思いトップ・バッターに起用しました。何しろターンテーブル1台です。
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商品情報
ビースティ・ボーイズ
「Three MC's And One DJ(Live Video Version)」

Amazon Music・MP3(JUL 27 2018)¥250

2. The Supremes “I Hear A Symphony”(1965)

2曲めもロックではありませんね、重ねてすみません。グループ名にしても「ダイアナ・ロス&ザ・スプリームス」でフロント+バック二人という二等辺三角形トリオである上、そもそもは4人のグループとしてデビュー、しかし直後に一人脱退して3人になったという経緯の面でも異色の「結果としてのトリオ」です(2020年3月9日MLCニュース参照)。しかし同時代のガール・グループでは抜きん出た存在なので入れておきたいなと。邦題は「ひとりぼっちのシンフォニー」。
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商品詳細
ダイアナ・ロス&シュープリームス 
『アルティメイト・コレクション』

Amazon Music・MP3(AUG 10 2018)¥2,500
CD(2012/6/20)¥2,700

3. Fun Boy Three “It Ain't What You Do It's The Way That You Do It”(1981)

さらに続けてフォーマット外のグループです。昨年他界したテリー・ホールは、スペシャルズ脱退後、共に抜けた二人とこのファン・ボーイ・スリーを結成(トリオ1)。数年後には解散してカラーフィールドとして活動したのち(トリオ2)、さらにテリー・ブレア&アヌーシュカというユニット(トリオ3)でアルバム・リリースと、トリオでの活動が続いた人物なのでした(ちなみに次のグループ:ヴェガスはユーリズミックスのデイヴ・スチュワートとのコンビ・ユニット)。しかもこの曲はバナララマとのダブル・トリオでのシングルです。
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商品情報
ファン・ボーイ・スリー
『The Best of』

Amazon Music・MP3(JUL 01 2022)¥1,500
CD(2018/7/27)輸入盤

4. Fine Young Cannibals “Johnny Come Home”(1985)

またまたフォーマット外のトリオです。元ザ・ビートの二人(ギター&ベース)に独特の存在感を放つ歌声のローランド・ギフトを加えた3人組。ビデオは狭いスタジオで右へ左へ所狭しと動き回りながら演奏する様を捉えたもので、3人揃ってのアクションがびしっと決まるところがカッチョいいですね。92年の解散後ギフトは主に俳優として活動する傍ら、ジュールズ・ホーランドのツアーやのTV番組に参加したりもしていたようで、新しいところではBBCの昨年〜今年の年またぎ特番で歌ったりしたそう(動画あり)。
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商品詳細
ファイン・ヤング・カニバルズ
『Fine Young Cannibals』

Amazon Music・MP3(DEC 15 2017)¥1,000
CD(2021/7/30)輸入盤

5. Eagles “Hotel California”(Live 1977)(1976)

フォーマット外トリオはまだまだ続きます。ご存知イーグルスですが、何しろギタリストが3人ですので。それも三人三様というか、終始ちゃんとそれぞれの役割分担がなされ、それが楽曲として隅々まできっちりと構築されている点で最も顕著なのが代表曲でもあるこの曲ではないか、と。殊この曲においては、音の隙間/人手不足を補うためにパートタイムで補足するのでなく、バンドに必要な人材として配置してあることがわかる気がします。見事に隙のない一曲。作・編曲の作業は交響楽のそれのような感じだったんでしょうか?
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6. ZZ Top “Thunderbird”(1975/2022)

ここらへんでまともなトリオもひとつふたつ。まずは米国代表でZZトップです。75年の楽曲を昨年リリースのライヴ・アルバム版より(2019年収録)、昔の映像も交えたミュージック・ビデオで。83年の『イリミネーター』で一気に垢抜けましたが、それ以前の小汚い頃の方がかえって魅力的ですね。2021年7月にダスティ・ヒル他界後はバンドに帯同していたギターテクのエルウッド・フランシスがつけヒゲ+ヅラで今もツアー続行中。ビリー・ギボンズにはいつまでもこのままでいてほしいと思います。
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ZZ Top
『Raw(’That Little Ol' Band From Texas' Original Soundtrack)』

Amazon Music・MP3(2022/7/22)¥1,700

7. The Police “So Lonely”(1978)

英国代表としてはザ・ジャムも捨てがたかったのですが、ここはザ・ポリスの皆さんを──で、彼らならば都営地下鉄・三田線の三田駅や地下鉄車内でゲリラ撮影されたこの曲のPVでしょう! その辺のてんやわんやは「映像作品『アラウンド・ザ・ワールド』初ブルーレイ&DVD化記念・短期集中連載」での初来日の舞台裏エピソード集をお読みください(2022年5月19日6月16日MLCニュース)。「見つめていたい」他数ある彼らの名曲の中でも断然この曲が好きです。
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ザ・ポリス
『アウトランドス・ダムール』

Amazon Music/MP3(NOV 02 1978)¥1,900
CD(2021/8/25)¥2,668

8. Morphine “Buena”(1993)

ベース&ヴォーカル、ドラムス、バリトン・サックスという超異色なトリオ。しかもフロントマンのマーク・サンドマンがスライドバーを指にはめて弾くベースは弦が2弦と3弦の2本だけ! こんな限られたフォーメーションながらインディから出発してメジャーにも移籍、90年代に5枚のアルバムをリリース。ソングライティングの多彩さを逆説的に証明するグループだったわけです。そんな中でも一番の名曲はこの「Buena」かと。しかし99年にサンドマンが急逝し活動停止となったのは残念……。
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Morphine
『Cure for Pain』

Amazon Music/MP3(SEP 14 1993)¥1,500
CD(2018/9/21)輸入盤

9. Beck, Bogert & Appice “Superstition”(1973)

半世紀を超えるロック史にあってパワー・トリオの代表格といえば、クリームかこの3人か。その後も度々日本にやってきたジェフ・ベックですが、このグループはやはりぜひこの目で観てみたかった……。怪しげにかつダイナミックに、スティーヴィー・ワンダーの原曲とはまた違った魅力を放っています。ちなみにベックの他界は今年1月10日でしたが、ベース/ヴォーカルのティム・ボガートが他界したのはは2年前の1月13日と、ほぼ同じ時期だったのでした。
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ベック・ボガート&アピス
『ベック・ボガート&アピス』

Amazon Music/MP3(MAR 26 1973)¥1,800
CD(2019/4/12)¥2,117

10. The Jimi Hendrix Experience “Wild Thing”(1967)

最後はジミヘン、彼を抜きにしてトリオは語れないだろ、と。ロックにおける “トリオ” を定義しつつ完成させ、と同時に誰にも真似できないレベルまで脱線までさせてしまった、定番にしてほぼ事故映像。ステージでの付け火もそうですが、会場の冷え冷え具合も尋常ではありません。ジャケの「火ぃメラメラ」ポーズももはやクラシック! かつてはこのモンタレーでの生演奏を収めた片面がジミヘンでもう片面がオーティス・レディングという、ちょっと買うのをためらうLPがありました(結局買ったことはありません)。
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ジミ・ヘンドリックス
『Live in Monterey』

Amazon Music/MP3(OCT 16 2007)¥1,800
CD(2014/3/18)¥1,263

─────────────

ジミヘンの後に、隠しトラック的におまけ映像を追加しておきました。忘れちゃいけないトリオの動画です。彼らはこうしたおふざけも大好きなトリオでした。お二人、どうぞ安らかにお休みください……。これも含めて52分08秒、いかがでしたでしょうか。

この他最初に書き出したものでは、クリーム、テイスト、モーターヘッド、グランドファンク・レイルロード、ニルヴァーナ、グリーン・デイなど。やっぱり大きめな音のバンドが多いなーとか、エマーソン&レイク・パーマー、ラッシュ、ジェネシスなどプログレ界隈にもいるもんなんだなとか、へえーと思うことも多々あり。技術の進歩で電子化が進んできた昨今では、生演奏を前提としたトリオにこだわる必要もなくなってきているんだろうか?、どのバンドにもジュン役・長作役・正児役、ランちゃん・スーちゃん・ミキちゃん役がいて上手くできているなー、などと徒然に考えました。
ということで第11回、久々のMLCプレイリストでした。本連載では一般の方からの投稿も受け付けております。まずはテーマとその10曲をこちらmailmagazine@musiclifeclub.com)までどしどしお送りください。追ってこちらから原稿発注いたします(でもノーギャラですよ)。どうぞお楽しみに!

MLCツイッター(@musiclife_club)でもたまに公募しますので、見つけたらご返信ください(まだ寒い時期に「春の歌」で募集したまま放置してしまったりしております)。多数のご応募お待ちしております!
これまでの【MLCプレイリスト】
●第1回・MUSIC・2022.03.11
新企画【MLCプレイリスト】テーマ別に往年の名曲を集めて聴く新企画開始。初回テーマは “平和を我等に”! ロシアはウクライナ即時撤退を
●第2回・MUSIC・2022.04.21
【MLCプレイリスト】テーマ別に往年の名曲を集めて聴く連載企画・第2回、題して「ポイズン・アロウ」! 第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの胸キュン・ソングの矢がハートを貫いたまま!
●第3回・MUSIC・2022.06.03
【MLCプレイリスト】テーマ別に往年の名曲を集めて聴く連載企画・第3回、題して「四月になれば彼女は」。原題カタカナ化もいいけど希少化する “邦題” を愛そう
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【MLCプレイリスト】テーマ別に往年の名曲を集めて聴く連載企画・第4回は映画とサントラ! 80年代ムービー・ソング集、題して「愛は吐息のように」
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【MLCプレイリスト】テーマ別に往年の名曲を集めて聴く連載企画・第5回は80年代ガール・ポップ、題して「80'sロマンス」
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【MLCプレイリスト】本日8月12日は満月につきテーマは「月」。ツイッターで公募したみなさんの「月に吠える」16曲!
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2022.08.19
祝71歳! 本日8月19日はジョン・ディーコンのお誕生日。プチ写真館+プレイリストでお祝い
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2022.08.25
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●第10回・2022.12.15
【MLCプレイリスト】初の一般投稿。書籍『ヒプノシス ロック名盤デザイン秘話』発売記念でテーマはヒプノシス10選、題して「芸術こそ我が命」!
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