【ミュージック・ライフ写真館 〜 ML Imagesライブラリー】

追悼・ジェフ・ベック 1944-2023

【ミュージック・ライフ写真館/ML Imagesライブラリー 撮影:長谷部 宏 pix : Koh Hasebe  / ML images / Shinko Music】

「ジェフ・ベック他界」のニュースを最初に目をした時には、驚きで文字通り口があんぐりとなってしまいました。これとてほんの数時間前のこと。つい先頃までジョニー・デップとの新作やライヴなどのニュースを目にしていたこともあり、あまりに突然で言葉を失いました。あるいは筋肉質でタフそうな実年齢の割にまったく老いを感じさせない見た目のせいもあったと思います。勝手にまだまだ演奏し続けてくれるもの、と思い込んでおりました。

記録によると最後のステージが昨年の11月12日だったようなので、急速な発症・悪化があったことは想像に難くありません。謹んでお悔やみ申し上げますとともに、安らかなる眠りを心よりお祈り申し上げます。

ミュージック・ライフ・クラブでは、その動画や追悼メッセージなどで足跡と功績をたどる別途訃報記事(1月12日MLCニュース参照)とは別に、ここで『ミュージック・ライフ』の記事や来日時に撮影された写真で哀悼の意を捧げたいと思います。
1960〜90年代にかけて、雑誌『ミュージック・ライフ』は、フォトグラファー長谷部 宏氏を中心にした撮影陣で、数多くの海外アーティストの写真を撮り続けて来ました。60年代にはビートルズ、70年代にはクイーン、KISS、チープ・トリック、ジャパン、80年代にはボン・ジョヴィやデュラン・デュラン……などなど、撮りためたポジ・フィルムやプリントは、数十万枚にも及ぶ量になります。しかもその貴重さは世界的レベルのため、海外からのリクエストも絶え間なく寄せられています。

現在我々は、そのコレクションを「ML Images」と名付け、膨大な量の写真を地道に整理整頓しつつ、貸し出すサービスを行なっており、ライブラリへアップロード済みの画像は目下約3万点で、現在も増え続けております。ご利用をご希望のメディア/展示スペースの方は、弊社までご連絡いただければ、具体的なご希望がない場合でもスタッフがお応えいたします。お気軽にご相談ください。メールはこちらから。

※個人の方へのご提供は行なっておりません。

ジェフ・ベックが世に広く知られるようになるのは、エリック・クラプトンが脱退したヤードバーズに加入してから。そして『ミュージック・ライフ』誌面に初登場したのは1965年11月号、グループの写真がグラビアに掲載されてのことです。残念ながら権利の関係でここでご覧に入れることはできませんが、「ぜひ見てみたい!」という方はストリーミング・サービスで毎月往年の『ミュージック・ライフ』が2冊ご覧になれるサービス(2022年2月25日MLCニュース参照)もございますのでそちらでどうぞ。

次にベックが大きく取り上げられるのはその2年後、1967年11月号での星加編集長の英国取材旅行レポートにおいて。ビートルズがレコーディング中のスタジオにお邪魔し、「フール・オン・ザ・ヒル」の録音現場に訪れたあの英国訪問の際のことです。この取材旅行ではシド・バレット在籍時のピンク・フロイドとの対面や、『メロディ・メイカー』紙のパーティにも出席。まだスペンザー・デイヴィス・グループに在籍していたスティーヴ・ウィンウッドやルルに加え、ジミ・ヘンドリックスも居合わせ、同行していた長谷部氏はジミヘンとのツーショット写真の撮影にも成功しています。一連の取材の過程で二人はベックのライヴが行なわれていたマーキー・クラブを訪れ、バックステージで取材&写真撮影。その時の様子がこちら。

当時ベック23歳。笑顔にはまだ幼ささえ感じられます。最初のソロ『トゥルース』で華々しくデビューを飾るのはこれから約1年後のことです。

他界のニュースを速報的にお伝えした本日正午のニュース(1月12日MLCニュース)では、ベック・ボガート&アピスで初めて来日した際に日本で撮影された3人の写真が表紙を飾る『ミュージック・ライフ』1973年7月号をメインに据えましたが、ベックが初めて表紙を飾ったのはそれよりも5年前、1968年11月号のことでした。ジュリー・ドリスコール、スティーヴ・ウィンウッドと共に、左上にベックの写真が。

『トゥルース』に続く『ベック・オラ』リリース・タイミングで、誌面にはロニー・ウッドやロッド・スチュワートらと共にジェフ・ベック・グループとしてグラビアに4人の写真が見開きで大きく掲載されています。

時は60年代末から70年代にかけて。ビートルズの解散を経てレッド・ツェッペリンを筆頭に、ロックは新時代へ。ベック自身は第2期ジェフ・ベック・グループとして2枚のアルバムをリリースし、ベック・ボガート&アピスを結成、セルフ・タイトルのアルバム・リリースを経て、鳴り物入りで来日! 『ミュージック・ライフ』表紙を飾り、同号グラビアでは巻頭ページを独占しています。

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続く2度目の来日は1975年。内田裕也氏が主催したワールド・ロック・フェスティバルに出演、札幌/名古屋/京都/仙台を巡回したというこのフェス、東京では後楽園球場で開かれました。日本からはイエロー、カルメン・マキ & OZ、クリエイション、四人囃子、海外からジェフ・ベック、ニューヨーク・ドールズ、そしてトリでフェリックス・パッパラルディー with ジョーとしてのスーパーバンドが登場。ジェフ・ベックは、マックス・ミドルトン(key)、ウィルバー・バスコム(b)、バーナード・パーディー(ds)とステージに上がっています。

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ジェフ・ベックはその後もほぼ数年おきにコンスタントに来日を続けており、最後の来日となった2017年までに17回も来日。こちらは1986年、サンタナとの2大ヘッドライナーに、ゲストとしてTOTOのスティーヴ・ルカサーが出演した軽井沢プリンスホテル野外特設会場でのステージ。アルバム『Flash』に合わせての来日ですが、このアルバムに合わせて行なわれたツアーは日本だけだったということです。青いタンクトップでのカット2枚は1989年「KIRIN "BEER'S" NEW GIGS」のステージより。

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最後の2枚は「1986年大阪城ホールでのステージより」としておりましたが、1989年「KIRIN "BEER'S" NEW GIGS」でのステージの間違いでした。ご指摘いただきお詫びとともに訂正いたします。大変申し訳ありません、お知らせくださり誠にありがとうございました。

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この後も単独来日はもちろん2006年の「UDO MUSIC FESTIVAL」や2015年の「BLUE NOTE JAZZ FESTIVAL」、また2016年に日本で開催された「クラシック・ロック・アワード」といったフェスでも来日しています。

近年はリリース間隔も数年おきと頻繁でこそなかったものの、コンスタントに作品も発表。ソロとしては2016年の『ラウド・ヘイラー』が、そして昨年リリースされたジョニー・デップとのアルバム『18』が正真正銘の最後のアルバムとなってしまいました。同作は、ベック本人曰く「ジョニーと俺が一緒にプレイし始めたとき、俺たちの中にあった若々しさに満ちたスピリットとクリエイティヴィティに火がついたんだ。まるで18歳の頃にもどったみたいだなってよく冗談を言い合っていたから、そのままそれをアルバム・タイトルにすることにしたのさ」ということで、同作のジャケットにはベックの妻であるサンドラによる、ベックとデップの18歳の頃の姿を描いたイラストをフィーチャー。10代の頃の楽しさを形にしたものが奇しくも最後の作品となってしまったのは、結果的には良かったと思います。

どうぞ安らかにおやすみください。長い間ありがとうございました。

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